Eメールは本来、「One-to-One」と「One-to-Many」の2種類のプッシュ型コミュニケーションが可能なチャネルです。
Eメールマーケティングと聞いたとき、多くの日本人は「One-to-Many」の側面が強い「メルマガ」を連想します。実際、メルマガが大流行した1990年代は雑誌のイメージに近い読み物が中心のメールが多く、和製英語の「メールマガジン」とよばれるのはごく自然なことでした。
しかしそのイメージがあまりに強すぎたのか、日本では単なるプロモーションメールまでのすべてが、メルマガとよばれることが多くあります。(※1)メルマガ的なOne-to-Manyのチャネルは、テレビをはじめとするマスメディアや、facebook、TwitterといったSNSまで数多く存在します。メルマガは、その一つに過ぎません。
一方で、昨今重要性が高まっているのはEメールの「One-to-One」の側面です。
EメールのOne-to-One活用の分かりやすい例として、お客様一人ひとりの購買履歴に応じたおすすめ商品を差し込んで送る、レコメンドメールがあります。今や数多くのECサイトで導入されていますね。こういったプッシュ型のOne-to-Oneコミュニケーションを手軽にできるのがEメールならではの強みです。
最近ではアプリのプッシュに加え、「LINEビジネスコネクト」によってLINEでもOne-to-Oneが可能になり、(技術的にはSMSでも可能ですが、日本の場合活用シーンが限定的です。)プッシュ型のOne-to-Oneチャネルが増えてきました。
それでも私たちは、やはりEメールはOne-to-Oneコミュニケーションの重要なチャネルとして外せない存在だと考えています。
(※1)海外では企業からの情報配信メールは「Newsletter」とよばれることが多い
では、今や様々なOne-to-Oneチャネルが生まれている中で、「Eメール」がなぜ、現在も重要なものと言えるのでしょうか。
その理由は大きく分けて2つあると考えています。
1つめは、“「メールアドレス」がネット上では最も普遍的なIDに近い存在といえるから”です。TwitterやFacebookを利用するにも、メールアドレスがマストとなりますよね。(※2)そのため、ネットユーザーにおけるカバー率は100%に近い高さです(利用率は別にして)。
例えば以前日本ではmixiが高い利用率を誇っていましたが、あっという間にLINEに取って代わられました。そのようにコミュニケーションチャネルが目まぐるしく変化を遂げる中にあって、Eメールは少し特殊な存在なのです。
2つめは、“Eメールが数少ないプッシュ型のオウンドメディアだから”です。自社で管理ができ、直接ユーザーとつながることが出来るのは、大きな利点となります。
直接ユーザーと繋がりをもち、One-to-OneコミュニケーションができるのはEメールの他にアプリのプッシュ通知くらいではないでしょうか。
ソーシャルメディアはあくまでも一企業が提供するコミュニケーションインフラのため、事業会社の経営判断によって、環境が激変することは避けられません。
最近では、多くのソーシャルメディアはペイドメディア化しています。Facebookが企業投稿の表示レギュ―レーションを変更したり、LINEがLINE@やビジネスコネクトの仕組み、料金体系を変更したりなど、企業は運営会社の方針変更に合わせて戦略を見直す必要がでてきてしまいます。
企業がユーザーと安定的に繋がり続けるためには、ダイレクトな関係が今後も必要不可欠となるのではないでしょうか。
(※2)Facebookは携帯番号でも登録できるが、それはSMSによるメッセージの受信を前提としている