ディレクタスでは先日、株式会社リンクと共同で「Googleメール送信者ガイドライン改定の最新情報 オンラインセミナー」を開催いたしました。
今回のセミナーでは6月のガイドライン適用後、実際にはGmailへのメールの到達はどのようになったのか事例をもとに確認を行う場となりました。
 
Google社によるガイドライン改定にあたっては、「ガイドラインの指示をどう反映するべきか」「オンライン上で検索しても、情報が把握しきれず困っている」という声が多く聞かれています。ディレクタスでは引き続き、本件に限らず有益な情報をお取引先様にお伝えし、学び合う場を今後も継続して開催していく予定です。
 
※本記事では勉強会当日の資料等を一部、公開が可能な範囲でお伝えいたします。
 

株式会社リンク クラウド・ホスティング事業部 
酒井 愛子
  
株式会社リンクにてLinuxサーバの提案営業を担当しつつ、2016年よりメール配信システム「ベアメール」の立上げを行う。
現在、営業の傍ら、各ECカート会社様、ショップ様のメールやサーバインフラに関するコンサルティングを行う。

 

株式会社ディレクタス
代表取締役 岡本 泰治
  
1993年にディレクタスを設立し代表に就任。今年で設立30周年を迎える。数多くの大手企業の1 to 1マーケティング戦略を立案。配信システムの提供、コンテンツ企画・制作からオペレーションアウトソーシングまで実施に必要な全ての機能をワンストップで提供している。

  
※5月に実施した「Eメールデリバラビリティ勉強会」と重複する部分もありますが、今までの流れを振り返りながら現在の状況を解説していきます。
  

Googleメール送信者ガイドライン改定の最新情報
2023年10月にGoogle社が迷惑メール対策として、メール送信者向けガイドラインを発表しました。当時のアナウンスでは新ルールは2024年の2月以降から順次適用され、「条件を満たさないアカウントのメールは正常に配信されない可能性がある」と記載されていました。

「メール送信者のガイドライン」概要 おさらい

ここで改めて、ガイドラインの概要を振り返ってみたいと思います。

■Gmailアカウントに対して1日5,000通以上のメールを配信する送信者は、迷惑メール対策として2024年2月1日以降は以下の要件を満たすこと

■対応のポイントとなる主な要件
①メール認証の設定(SPF、DKIM,DMARK)
②Postmaster Toolsで報告される迷惑メール率を0.3%未満に維持
③ワンクリック登録解除の対応

■ガイドライン適用のスケジュール
2024年2月~: 要件を満たさないメール配信のごく一部で一時的なエラーを受け取るようになる
2024年4月~: 要件を満たさないメールは一定の割合で拒否され、拒否率は徐々に引き上げられる。(ワンクリック登録解除の対応は不必須)
2024年6月~: ワンクリック登録解除の対応が必須となる。
  
本ガイドラインの発表時には、緩和策や問い合わせ窓口は設けないとされていました。
さらに規制も2月より一斉に開始となる予定でしたが、企業側の対応が間に合わない様子を受け、緩和策の採用や段階を踏んでのセキュリティ強化に変更された経緯があります。

メールの送信環境について、アンケートを実施

LINK社では2024年6月4日から、一般的な企業、サービス提供者を対象として取り組み状況についての緊急調査を行いました。
(調査機関利用/20代~60代、男女1,000名にアンケート実施)
  
 アンケートで調査した内容の一例
■Googleの「メール送信者のガイドライン」に、あなたの企業は対応済みですか?

アンケート回答者に、ガイドラインへの対応状況をヒアリングしました。
対応が完了していると回答があったのが、全体の約3割。残った方のうち3割強は対応を進めているが未完了、最後の3割は現時点で未対応か状況を把握していないとなりました。

本アンケートでは全体を通して、「自社のメールの環境が把握できていない」、または「対策の必要は認識しているが何をしたらいいか分からない」「対応の重要さが社内で共有できていない」という回答が数多く寄せられていました。

今回実施した調査結果は、LINK社のホワイトペーパーとして以下ページで集計・配布が行われています。
https://baremail.jp/news/release_20240620.php

Googleが発表したスケジュール上では、6月からワンクリック登録解除の設定も必須に。
では、実際の規制状態は?

Googleが事前に開示していたスケジュール上では、現在はすでにガイドラインの規制がすべて適用される時期にあたります。しかし、各企業へのヒアリングやLINK社で運用しているサーバ状況を見る限りでは、まだ完全な規制が実施されている段階ではないようです。

規制を受けたいくつかの事例を見る限りでは、ガイドライン遵守だけでなくドメインの利用期間や、メールの内容などから複合的に判断している段階にみえます。

  
ただし最近では、これまで信頼性が高いとして規制を受けにくかった大学や市区町村などのアドレスでも、Gmailにメールが送信できなくなる事例が頻発しています。

メールが届かない事例での原因のひとつが、キャンペーンや新しい施策等に合わせてドメインを新しくしたケースです。プロモーションでの一斉送信だけでなく、購入通知などのトランザクションメールまでも未達となり各所で大きな問題となっています。

これまで新しいキャンペーン等をする際には、メインのドメインに影響を与えないため新しいドメインを取るのが慣行となっていました。今後そうした手続きを行う場合には、徐々に送信量を増やすドメインのウォームアップ期間を設けるのが必須となりそうです。

  

受信箱が一杯になっているユーザーは、率先して送信先から除外を
送信先が見つからないuserunknownエラーのメールは、マーケティングオートメーションツールで送信リストから自動除外している企業が多いのではないでしょうか。
 
Googleガイドライン適用後、受信箱がいっぱいになっているユーザーの扱いも変わってきています。

今までは受信者のメールBOXが一杯の際には、一時的なSMTPエラー(復旧見込みあり)として、400番台のエラーが帰ってくるのが一般的でした。それが最近では、552番など500番台のエラーコードに変わってきています。一緒に届くエラーメッセージも「このユーザーはメールを開封しないので、もう送信しないでください」と受け取れる内容になりました。

こうした流れから、「メールを開く気がない・必要としていないユーザーにメールを送り続ける送信者」=スパム配信者であると、Gmail側が仕分けてしまう可能性が考えられます。
送信側からするとメールの送信リストが減るのは厳しいものですが、「たくさん送って何か反応があればいい」という考えは今後切り替えていく必要がありそうです。

 
また受信箱がいっぱいになっているユーザーは、該当のアドレスを日常使いではなくプロモーションメール用の捨てアドとして使っていると思われます。継続して送信しても読んでもらえる可能性が低いため、送信リストから外してください。

最後に、オートメーションツールでは受信箱がフルの場合はソフトバウンスと判断し、再送してしまうものもあるようです。ツールによって採用設定は異なるため、改めて確認が必要です。

必ず毎日、ruaレポートの確認を

メールの未達率を上げないためには、DMARC設定後に毎日届くruaレポートの確認が重要となります。しかしレポートはXML形式で書かれているうえ、記載内容が難解で意味がよく分からないという声がよく聞かれます。そうした場合には内容が分かりやすく可視化される分析ツールを活用し、日々のデータを解析するのがおすすめです。

LINK社でも、ruaレポートを自動で分析するツールの提供を行っています。ディレクタスにてご紹介も可能ですので、ご希望の方は弊社までご連絡ください。

 
※当記事の内容はEメール到達を保証するものではございません。また2024年6月末時点での内容ですので、最新の情報は最新の送信ガイドラインをご参照ください。
メール送信者のガイドライン – Google Workspace 管理者 ヘルプ