ディレクタスでは先日、外部のお客様もお招きし「Eメールデリバラビリティ勉強会」を開催いたしました。※

今回の勉強会は、先日Google社が改定したメール送信ガイドラインの読み解きや実際に発生したブラックリスト誤判定の例などを元に、今後実施すべき内容の知見を持ち寄る場となりました。
 

※Eメールデリバラビリティについて
送信したEメールはさまざまな理由でブロックされたり、迷惑メールに分類されたりと受信者に届かないことがあります。ここでは、Eメールデリバラビリティとは、送信したEメールが受信者に届く到達可能性を意味しています。

Google社によるガイドライン改定にあたっては、「ガイドラインの内容をどこまで対応すべきか」「オンライン上で検索しても、情報が把握しきれず困っている」という声が多く聞かれています。ディレクタスでは引き続き、本件に限らず有益な情報をお取引先様にお伝えし、学び合う場を今後も継続して開催していく予定です。

本記事では勉強会当日の資料等を一部、公開が可能な範囲でお伝えいたします。
 
 
●前編/メール送信者ガイドライン改定の最新情報、今後の課題について   ※本記事
●後編/Eメール送信に問題が発生した場合の、取り組み例について

 
 

岡本泰治(写真左)、酒井愛子(中央)、大友広貞(右)
 

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン UXD本部 UX推進部   
大友広貞
 
ECのプロモーション業務、Salesforce Marketing Cloudを用いたシナリオメールの企画などの業務経験を経て、
現在は会員制度、顧客コミュニケーションをはじめとするオンライン上の顧客体験全体を管理する。

 

株式会社リンク クラウド・ホスティング事業部 
酒井 愛子
 
株式会社リンクにてLinuxサーバの提案営業を担当しつつ、2016年よりメール配信システム「ベアメール」の立上げを行う。
現在、営業の傍ら、各ECカート会社様、ショップ様のメールやサーバインフラに関するコンサルティングを行う。

 

株式会社ディレクタス
代表取締役 岡本 泰治
 
1993年にディレクタスを設立し代表に就任。今年で設立30周年を迎える。数多くの大手企業の1 to 1マーケティング戦略を立案。配信システムの提供、コンテンツ企画・制作からオペレーションアウトソーシングまで実施に必要な全ての機能をワンストップで提供している。

 

「メール送信者のガイドライン」改定への対応

2023年10月に、Googleの「メール送信者のガイドライン」が変更されました。(12月に更新)それによると変更後のルールは2024年の2月以降から順次適用され、条件を満たさないアカウントのメールは正常に配信されなくなる可能性があると記載されています。
 

 
ディレクタスではGoogleによるスパムフィルター対応だけでなく、ガイドラインの評価が影響する上流のブラックリスト対策も同時に行うべきであると考えています。

※今回のレポートで掲載している情報は、Google社が公開している要件を元にしています。
3月末時点で公開されている、送信者ガイドラインの内容は以下となっています。

「メール送信者のガイドライン」概要

Gmailアカウントに対して1日5,000通以上のメールを配信する送信者は、迷惑メール対策として2024年2月1日以降は以下の要件を満たすことを求めている。

■対応のポイントとなる主な要件
①メール認証の設定(SPF、DKIM,DMARK)
②Postmaster Toolsで報告される迷惑メール率を0.3%未満に維持
③ワンクリック登録解除の対応

■ガイドライン適用のスケジュール
2024年2月~: 要件を満たさないメール配信のごく一部で一時的なエラーを受け取るようになる
2024年4月~: 要件を満たさないメールは一定の割合で拒否され、拒否率は徐々に引き上げられる。(ワンクリック登録解除の対応は不必須)
2024年6月~: ワンクリック登録解除の対応が必須となる。

■「緩和策」(googleに対する緩和申請が可能) ※2024年2月15日追加
・すべての要件を満たしていることが、緩和策の対象となる
・2024年6月以降、迷惑メール率が0.3%を超えている間は緩和策の対象外となる。

スケジュールイメージ

今後ガイドラインの適用は、このようなスケジュールで進んでいくと考えられます。

ポイントとなる対応

① ドメイン認証の設定

■ドメイン認証とは
SPF :ドメインからメール送信が許されたサーバをリスト化する仕組み
DKIM:送信側とメッセージで暗号鍵を用いて、改ざんがないことを保証する仕組み
DMARC:SPFおよびDKIMレコードと照合された後の、メールの処理方法の設定

■ドメイン認証の設定
SPF :配信サーバーの送信用IPアドレスを、DNSサーバに登録する(DNSレコードの追加)
DKIM:メールサーバに署名、DNSサーバにTXTレコードを登録する
DMARC:DNSサーバにDMARCレコードを設定する
 

②迷惑メール率0.3%未満に維持

・Postmaster Toolsを登録・設定する
・Postmaster Toolsにてドメインの迷惑メール率を確認する
・迷惑メール率を0.3%未満に維持する
 

③ワンクリック登録解除の設定

・メールヘッダーにList-Unsubscribe(登録解除)を追加する
・配信システム各社はヘッダーへの登録解除の追加に対応中(Salesforce Marketing Cloud EngagementやBrazeなどでは対応済み)

メール受信者がメールのヘッダーにある登録解除を使ってオプトアウトを行った場合、配信システム側にオプトアウト情報が蓄積されるケースが多く、自社のDBにあるメールパーミッションと整合性を取る必要がある
 
後編では、万が一誤判定等を含めEメール送信に問題が発生した場合に、対応すべき方法についてお伝えしていきます。

 
※本情報は、3月末時点の Google社による公開情報を参照しています。
最新の情報は、メール送信者のガイドライン – Google Workspace 管理者 ヘルプ をご確認ください。