昨年あたりから「ビッグデータ」「最適化」といったキーワードとともにデータベースマーケティング関連の技術に注目が集まっています。
データベースマーケティングの基本的なコンセプトは1960年代から存在しましたが、ここ数年の間にwebアクセスログをはじめとする膨大なリアルタイムデータを取得・分析できる環境が整ったことによって、急激に状況が変化してきました。

例えばオンライン広告の世界ではDSP/RTBやオーディエンスターゲティングが徐々に浸透しつつあります。従来の広告枠の概念が崩れ、オンライン広告は各種データの分析結果に基づいて一人一人の「個」に対してタイムリーに最適なコンテンツを配信するのが当たり前になるでしょう。顧客データとはリンクしていませんが、ここで行われていることはまさしくデータベースマーケティングです。

データベースによる最適化技術がコミュニケーションの生命線に

ユーザーが自社の登録ユーザーで顧客データベースとリンクすることができれば、コミュニケーションの最適化はさらに精緻なものになります。
過去の購買履歴やwebアクセスログなどのリアルタイムデータを合わせて分析することで、最も効果的なシナリオを選定し、Eメールやディスプレイ広告、自社サイトを組み合わせて効果的なコミュニケーションを展開することができます。
例えば自社商品の購入者が新商品のページに何度もアクセスしていたら購入検討中と判断し、顧客限定のクーポンメールを送信。サイトにアクセスしたときには購入済み商品との組み合わせ例を表示し、サイトへのアクセスがなかったらディスプレイ広告で新商品を訴求してサイトへの訪問を促す・・・。といった具合です。

また、facebookも「like」ボタンやチェックイン、コメントといった巨大な顧客データを元に最適なコンテンツや広告を表示するという、データベースによる最適化技術がその生命線となっています。企業によるソーシャルメディア活用の今後の方向性として注目されている「ソーシャルCRM」も、ソーシャルメディア上のログと顧客データベースとの連携によってユーザーごとのコミュニケーション最適化を志向することになるでしょう。

このように見てくると、今後はマーケティングのあらゆる場面で顧客に関するデータを取得し分析してコミュニケーションの最適化を行うという活動が行われることになりそうです。
「今後全てのオンラインマーケティングはデータベースマーケティングになるだろう」と言っても過言ではありません。

本当のパーミッションが重要に

もし全てのオンラインマーケティングがデータベースマーケティングになるとしたら、最も重要なのはユーザーから「本当のパーミッション」を得る仕組みとコミュニケーションシナリオのプランニング能力だと思います。
しばらく絶版になっていたセス・ゴーディンの『パーミッション・マーケティング』が昨年再版されましたが、とてもいいタイミングだと思いました。今だからこそ学ぶ点の多い本です。まだお読みになっていない方はぜひ。

しかしパーミッションもシナリオプランニングのノウハウも一朝一夕に蓄積できるものではありません。
素早く体制を整え、データとノウハウを先行して蓄積できた企業が大きなアドバンテージを持つことになるのではないでしょうか。

弊社では米Responsys社のクロスチャネル・キャンペーンマネジメント・ソフトウエア「Responsys Interact Suite」を販売することになりました。

あらゆる顧客データと連携し、そのデータに基づいてEメールはもちろんディスプレイ広告やソーシャルメディアも含めてクロスチャネルで最適なメッセージを最適なタイミングで配信。そしてそのシナリオの展開をオートメーション化することができます。
これからのデータベースマーケティングに必要とされる機能を先取りして備えているといえるでしょう。

岡本泰治

京都大学卒業後、株式会社リクルートを経て1993年ディレクタスを設立。 航空会社や自動車メーカーなど大手企業のEメールマーケティング戦略を立案・実行し、近年ではマーケティングオートメーション(MA)の導入支援やシナリオ設計、MA導入後のOne-to-Oneクロスチャネル展開設計など、常に最新のソリューションと長年培ってきたノウハウをもとにOne-to-Oneマーケティングを推進。