今回の記事では前編に引き続き、Eメールデリバラビリティ勉強会※の内容をお伝えしていきます。株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO社) 大友様、株式会社リンク(以下LINK社)酒井様にお話いただいた内容をもとに、「Eメール送信に問題が発生した場合の、取り組み例について」をお伝えいたします。
 
※Eメールデリバラビリティについて
送信したEメールはさまざまな理由でブロックされたり、迷惑メールに分類されたりと受信者に届かないことがあります。ここでは、Eメールデリバラビリティとは、送信したEメールが受信者に届く到達可能性を意味しています。
 
 
前編/メール送信者ガイドライン改定の最新情報、今後の課題について
●後編/Eメール送信に問題が発生した場合の、取り組み例について   ※本記事

 
 

岡本泰治(写真左)、酒井愛子(中央)、大友広貞(右)
 

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン UXD本部 UX推進部   
大友広貞
 
ECのプロモーション業務、Salesforce Marketing Cloudを用いたシナリオメールの企画などの業務経験を経て、
現在は会員制度、顧客コミュニケーションをはじめとするオンライン上の顧客体験全体を管理する。

 

株式会社リンク クラウド・ホスティング事業部 
酒井 愛子
 
株式会社リンクにてLinuxサーバの提案営業を担当しつつ、2016年よりメール配信システム「ベアメール」の立上げを行う。
現在、営業の傍ら、各ECカート会社様、ショップ様のメールやサーバインフラに関するコンサルティングを行う。

 

株式会社ディレクタス
代表取締役 岡本 泰治
 
1993年にディレクタスを設立し代表に就任。今年で設立30周年を迎える。数多くの大手企業の1 to 1マーケティング戦略を立案。配信システムの提供、コンテンツ企画・制作からオペレーションアウトソーシングまで実施に必要な全ての機能をワンストップで提供している。

 
前半に続く後編では、GDO社とGDO社にEメールデリバラビリティのコンサルティングを行っているLINK社との発表資料をもとにレポートをお伝えいたします。

※本記事では勉強会当日の資料等を一部、公開が可能な範囲で掲載しております。

Google社に続き、米Yahoo社も2024年4月以降からメール送信に関わるガイドラインを変更すると発表しています。(英語表記)
More Secure, Less Spam: Enforcing Email Standards for a Better Experience

※今回のレポートで掲載している情報は、Google・Yahoo社が公開している要件を元にしています。以下は3月末時点で公開されている両社の送信ガイドラインをまとめた物となります。

ガイドラインの改定は、企業にとって何が問題となるのか?

「メールマガジン等で大量のメールを送っていなければ、顧客へのメール送信に不具合が出ることはない」そのように考えられている担当者の方も多いのではないでしょうか。

しかし現状のところ、誤判定も含めメールマガジンを送付していない企業でもスパム判定がされ、メールが送れなくなる事象が頻発しています。企業から配信されるメールがスパム判定をされると、販促メールだけでなく購入完了や重要なお知らせのメールもお客様に届けることができなくなります。

GDO社では上記の情報を受け、ゴルフ場の予約や天候による運営情報などの重要なお知らせを適切にお届けできる体制づくりを実施しています。(本記事では非公開となりますが、勉強会では対応策などをレクチャーしていただきました)

なぜこのような対策が開始されるのか

近年ではサイバー攻撃の手法が巧妙化し、これまでの各種フィルタリングやメールの受け取り手が行う対策では被害を防ぐことが難しくなっています。Eメールによる企業を狙った犯罪は増える一歩で、LINK社への相談も増加しています。

これまでにLINK社では、以下のようなご相談を受けています。

■「請求書を添付したメールを傍受され、なりすましメールが送信されているかもしれない」と相談を受けた事例

2月1日以降、Gmail側で開始されたチェック強化の状況は?

Gmailからは2月からチェックの強化が行われると、繰り返しアナウンスがされていました。LINK社のクライアント企業の調査から、実際にチェック強化によるメールブロックの発生が増えてきているのが確認されています。

なかには、メルマガ(販促を目的としているメール)ではないメールなのにも関わらず、1日に5000件以上送信されているケースでは、以下のようなブロックが発生しています。
「当社はメルマガを送付していないので、問題はないはず」と考えていた企業が、ある日急にメール送信が行えなくなる例が増えているのです。

一時は公的な機関や複数の有名企業もブロックの影響を受けたと見られ、Gmailへの送信が行えなくなっている旨がニュースになっていました。

また2024年4月より、ルール非準拠のメール拒否率が徐々に引き上げられると予告されています。ポリシーに準拠していない一定の割合のメールトラフィックを拒否し、拒否率を徐々に引き上げていくことになると思われます。Gmail のガイドライン変更に関するFAQサイトには、例として上記が記載されています。4月以降は、基本的にルールに準拠できていない大量送信のメールは、ほぼ届かなくなると考えられます(ワンクリック解除ルール以外)。

誤判定も発生?

全体的にエラーとブロックが増加している原因の一つに、受信側の誤判定が起きていたケースが見られます。

各メールサービスでは、それぞれのセキュリティ設定をチューニングしている最中かと推測されますが、SPF・DKIMともに設定しているにも関わらず「SPFまたはDKIMがない」と判定されブロックされる例が出ています。

多くの場合で再送を試みると送信が成功するため、一時的な誤判定を受けているものと思われます。

ruaレポートの重要性

DMARCを設定すると、ruaレポートが各メールサーバから毎日送られてきます。 しかしXML形式で書かれているうえ、記載内容が難解で意味がよく分からないという声がよく聞かれます。
ruaレポートは以下のような重要な情報が記載されているため、分析ツール等を活用しながら日々の情報を確認するのがおすすめです。
 
■ruaレポートで分かること
・想定外のメールが送られている発生率
・メールが届かなかった際の原因可能性
・自ドメインなりすましの発生状況

LINK社では、ruaレポートを自動で可視化する分析ツールを提供しています。ディレクタスよりご紹介も可能ですので、ご希望の方は弊社までご連絡ください。

 
ディレクタスでは今後もEメールデリバラビリティに関する情報を定期的に発表していく予定です。

※当記事の内容はEメール到達を保証するものではございません。また3月末時点での内容ですので、最新の情報は最新の送信ガイドラインをご参照ください。