意外と大変?メール配信業務

今回は、これまでのコラムとは少々趣を変えて、Eメールマーケティングを実施する上での基本となる、メール配信業務について考えたいと思います。

実際に携わられた方なら理解できるかもしれませんが、メールの配信業務は意外と苦労するものです。1つひとつの作業自体の難易度はそこまで高いものではないのですが、メールコンテンツ、データ(配信するリスト)、配信システムへの設定といった、さまざまな異なる要素を考慮しなければいけません。また、WEBページと違って、コンテンツが完成した後に、配信システムへの設定作業の手間があるため、スケジュール的にも詰まった進行になることが多い事もその一因かと思います。また、このことがメール配信での作業ミスを誘発する原因となっているのではないでしょうか。

それでは、メール配信業務でミスを少なくし、かつ効率的に作業をするためにどのような工夫ができるでしょうか。その1つとして運用フローを整理することをおすすめします。

運用フローとは

運用フローとは、誰が何をするのか、作業の流れをフローチャートに表したものです。 縦軸を作業者、横軸を時間軸として、1つの作業工程を1つのボックスとして作業の流れをまとめたシートとなります。


運用フローを整理する際は下記のことに留意します。

・細かくし過ぎない

運用フローは作業の手順を細かく定義するものではありません。あくまで作業の流れを把握するものなので、作業手順をマニュアルのように詳細に記載する必要はありません。ただし、担当者が複数人にまたがる作業については、簡単な作業でも別の作業工程として区分けした方がよいです。

・作業工程のインプットとアウトプットを意識する

作業工程を考えるとき、その作業工程に必要なもの(インプット)は何か、その工程が完了したときにできてくるもの(アウトプット)は何かを意識して作成します。もし、インプットとアウトプットが変わらない工程があれば、その工程は実施する意味がないので、削減できるものと考えられます。

・修正(手戻り)があることを前提で考える

業務の性質上、メール配信の作業には、必ず何らかの修正(手戻り)が発生することを前提にした方がよいです。特に修正が発生しそうな工程には、修正が発生した場合に、どのような対応となるのかフローの中で考慮しておきます。

全体最適の視点で改善する

このようにして運用フローをまとめることでどのようなことがわかるでしょうか。
このシートを作ってみると、全体としてどのような作業があるのか、どこにボトルネックがあるのか見通しを立てやすくなります。
作成した運用フローを見ながら次のような点をチェックします。

  • ムダな作業はないか
  • もっと早くから着手できる作業工程はないか
  • 別の担当ができる作業はないか
  • 手戻りが多い作業工程はないか
  • 手戻りをなくすための工夫はできないか
  • 手戻りが発生した場合のムダ・ムリはないか

例えば、ある作業が同じタイミングで同じ担当者が実施している場合、作業のタイミングをずらせないか、別の担当者が作業できないかなど検討します。また、手戻りの発生がメール配信業務の非効率を生んでいる場合が多く見られます。そこで原稿がデグレード(先祖がえり)してしまい、ミスを誘発する原因にもなっているようです。手戻りはある程度発生するのは仕方ないことではありますが、それを最小限にする工夫はぜひとも検討すべきことです。

配信をミスなく実施するという意味では、メールを配信するまでの作業が大切なのですが、メール配信結果の分析や問合せ対応など、メール配信した後の運用フローも重要です。また、メール配信の業務が複数同時に進行する場合はその業務のかぶりも考慮する必要があるでしょう。

弊社ではメール配信業務の運用改善のコンサルティング、メール配信業務のアウトソースも請けております。ご興味をお持ちでしたらお気軽にこちらからお問合せください。

岡本泰治

京都大学卒業後、株式会社リクルートを経て1993年ディレクタスを設立。 航空会社や自動車メーカーなど大手企業のEメールマーケティング戦略を立案・実行し、近年ではマーケティングオートメーション(MA)の導入支援やシナリオ設計、MA導入後のOne-to-Oneクロスチャネル展開設計など、常に最新のソリューションと長年培ってきたノウハウをもとにOne-to-Oneマーケティングを推進。