今年になって、Eメールの「レスポンシブデザイン」の話が あちらこちらから聞こえてくるようになりました。 スマートフォンの普及にともない、まずはWEBサイト側の対応をし、 ようやくEメールの対応にとりかかりつつある、ということなのかもしれません。 もともとEメールマーケティング専業だったディレクタスでは、 2011年からレスポンシブデザインのEメール制作をはじめ、 効果検証のためのテストを実施していました。
そんなわけで、わたしたちのクライアント企業では、早い企業では もうかれこれ3年ほどレスポンシブメールの運用をしています。
このコラムでは、Eメールのスマートフォン対応について書いて いきますが、まずはスマートフォン対応の対象となるEメールについて 整理しておきましょう。(必ず混乱してくるので)
スマートフォンで受信するEメールは2つあります。
キャリアのメールアドレス(※1)で受信するEメールと、 PCのメールアドレス(※2)で受信するEメールです。
※1:docomo.ne.jpやezweb.ne.jpなどのメールアドレス
※2:gmail、yahooメールなどのWEBメールアドレス、プロバイダのメールアドレスなど
2011年当時、キャリアのメールアドレスを保有する日本の企業にとって、 スマートフォンへの対応は非常に悩ましいものでした。(現在もですが、、)
メールアドレスだけでは、デバイスが特定できない上、リンク先となる WEBサイトのスマートフォン対応も追いついていなかったからです。
苦労して制作したデコメ(※3)もスマートフォンで閲覧すると、 読めることは読めますが、美しくはありません。 リンク先もガラケーサイトにするしかありませんでした。
※3:画像添付型のEメール
現在は、WEBサイト側の問題は解決しましたが、Eメールについては スマートフォンを意識した「テキストメール」で対応している ケースが多いようです。
これからお話するレスポンシブデザインなどのスマートフォン対応は、 PC向けのHTMLメールを前提としています。
キャリアのEメール対応について、現在も悩んでいる企業が多い中、 大変心苦しいのですが、ここではいったん忘れていただければと思います。 (そもそもスマートフォンユーザーがキャリアのメールアドレスを 今後も使い続けるのか?!という疑問もありますし。)
2012年にわたしたちが実施したアンケート調査では、すでにスマートフォン ユーザーの90%以上が企業からのEメールを、PCとスマホ両方で閲覧している、 という結果が出ました。
進まぬスマホ最適化? 2014年 企業から配信されるメールのスマートフォンにおける受信状況アンケート調査報告
さらに、海外では50%がスマートフォンなどモバイル端末で開封する、 というデータも出ています。 当然、PC用にデザインされたHTMLメールは画面の小さいスマートフォンでの 閲覧には適していません。
当時のアンケート調査では、「横にスクロールしないと全体が見えない」 「文字が小さい」「メールが長い」「テキスト量が多い」「リンク箇所が タップしにくい」などといった不満の回答が多く集まりました。
配信システムには、閲覧したデバイスを特定できる機能を持つものも ありますが、それがわかったところで、PC向けとスマートフォン向けに 2つのHTMLメールを作るのは運用上難しいし、そもそもユーザーは、 PCとスマートフォン両方でEメールを閲覧しているのです。
そのような課題を解決するのが、1ソースでデバイスごとに表示を 最適化できる「レスポンシブメール」です。
しかし、Eメール制作の経験がある方はご存じのとおり、Eメールを 閲覧するソフト(以下メーラー)は多岐にわたっており、仕様も それぞれ異なるため、レスポンシブデザインもWEBサイトほど単純では ありません。
(参考表)
レスポンシブメールを実現するための複雑なCSSは一部のメーラーしか 対応していません。 世の中でEメールのレスポンシブデザインがなかなか進まなかったのはそんな理由があると思います。
後編では、サンプルを使ってレスポンシブデザインのEメールが、 メーラーごとに、どのように表示されるのかなど、少し詳しく ご紹介します。
【コラム】Eメールのスマートフォン対応してますか?(後編)