各顧客のタイミングに合わせたコミュニケーションを実現することで、メール経由の更新率が40%アップ。攻めと守り両面での運用強化で、売上向上に寄与するシナリオを継続的に増加させることに成功。
コンシューマ営業本部
田中 様
MA関連のスーパーバイザーとしてその導入、運用、契約関連まで全てを担当。お客さま向けのコミュニケーションの企画から運用までをEND-TO-ENDで実現する重要な役割を担う田中様にお話しを伺いました。
事例サマリー
- 技術面と運用面の高いハードルがMA導入、運用の一番のチャレンジ
- 社内複数部署と経験豊富な外部パートナーの連携で、課題を克服し運用の安定、効率化を実現
- 最重要KPIの前期比40%増を実現。さらに多くの領域への展開でビジネスゴールの最大化を
その当時あった課題とは?
私たちの部門では一旦製品をご購入いただいた個人のお客さまへむけて、様々なコミュニケーションを展開し継続契約していただくことを目的としています。そのため最も重要視しているKPIは更新率となります。
セキュリティソフトは、製品のご購入から更新まで1年から3年という長い期間があります。その期間にお客さまといかに的確なコミュニケーションをとり、アクティブなお客さまであり続けていただくことが重要なキーポイントとなります。そのためMA導入の主目的は、「お客さまごとにパーソナライズされたコミュニケーションを実現し、アクティブなお客さまを増やす」ことでした。
そこにあった最も大きな障害は、実施したい施策を実現するための技術面と運用面のハードルの高さでした。その時点ではツールベンダーさん経由でMAを導入はしていたものの、具体的にどんなことが出来るか、どうすれば希望する施策を実装出来るかを深く理解し実行できている状態ではなかったのです。目標にたどり着く道具(MA)は既にもっていたものの、まだ使い方やどのように使っていくかという方向性が不明瞭な状態でした。
ツールの本当の難しさは、実際に利用してみないとわかりません。まさに「言うは易し、行うは難し」です。例えばカート放棄メールやブラウザ放棄メールなどの定番シナリオでも、いざ自分たちで実装してみようとするとMAを使ってどのように実現するかがわからないのです。新しいプログラムの設定ではSQLを使う等、高度な技術的知識が必要になる場面も多くありました。
難しかったのは、ツールの操作方法だけではありません。ツール上の設定指示書(ブループリント)の作成も一つの例です。実は我々は以前からカスタマージャーニーを作成していたのですが、それをアクションとして実行するまでのステップとその方法がわからず悩んでいました。カスタマージャーニー作成後にコミュニケーションシナリオをまとめるのですが、ここから実装までにはもう1ステップ、ブループリントに落としこむ必要があります。ブループリントの作成にはツールの深い知識と施策の背景、目的の両面における深い理解が必要で、難易度が非常に高いものでした。
実施したこと
実施した内容は、シナリオ設計、プログラム実装、運用支援まで多岐に渡ります。ディレクタスには導入後の成果を出すためのプロセスを戦略面、テクノロジー面、運用面、クリエイティブ面すべてでサポートしてもらっています。関わり方は依頼して作業を代行してもらうものもあれば、伴走型でインハウスでの運用を隣で寄りそって支援してもらうものまでありました。
最初に依頼したのは、運用サポートとヘルプデスクです。MAの設定や操作でわからないことがあった際のサポートやツールの操作トレーニングなどで、まずは運用の安定化を図りました。MAはメール一本送るにもプログラムの設計、設定が必要になってきます。SQLや新たなテーブルを作成する必要がある場合にはディレクタスの技術者に作業を依頼し、簡単なプログラムであれば社内リソースで対応するという形をとりました。また運用面で事故が起きないためのチェック機能も果たしてもらっています。
運用が安定すると、シナリオ開発へと移りました。ここでは複数部署のステークホルダーを集めて7,8回にわたるワークショップを実施し、ディレクタスのモデレートのもとシナリオ開発をすすめました。
シナリオ開発ではカスタマージャーニーにもとづいて、具体的なコミュニケーションシナリオを作成します。今回はディスカッションで出たアイデアを元にディレクタスがシナリオ案を提案し、練り上げていく形を取りました。各部署がワークショップで自分たちからアイデアを発信することで、当事者意識が出たのではないかと思います。
結果として数多くの改善アイデアを出すことができ、それをドキュメントにまとめました。その中でまずは離反者が多い箇所、ビジネスインパクトの大きい箇所を優先付けし、特に優先度の高いものにフォーカスして施策の実装準備をすすめました。
それがどのように助けになったか
今回ディレクタスに協力いただいたことで、施策実行のクオリティ向上と実装時間の短縮において、特に大きな助けになりました。
まずプログラム設定など豊富な経験と知見に基づく施策の実行力は、クオリティ向上に大きく寄与します。ツールに関する深い知識はすぐに得られるものではなく、潜在するリスクを予め回避することになります。
また実際に業務を代行してもらうこと以外に、自社で考える事のサポートをしてもらうことも多くありました。例えばシナリオ開発のワークショップではディレクタスにフレームワークを用意してもらいそれにのっとってプロセスを進めたため、全体のプロジェクトがあるべき方向にスムーズに進んだと感じています。これを一から準備して始めるとなると、多大な時間がかかっていたはずです。また社内外の関係者との調整を含め、時間のかかるプロジェクトマネジメントをお願いできたことは実務的に助かった部分です。
その他でいうと、社内から出した情報を客観的に判断してもらえたのは良かった点だと思います。どうしても社内だけで見ているとバイアスがかかってしまう部分もあり、他社でも導入、運用実績のある担当者の助言は有益でした。非常に重要なプライオリティを決めるプロセスでも、豊富な経験に基づいたアドバイスをいただけたことは大きなメリットだったと感じています。
それによって得られた結果
メール経由の更新率については、前期比40%増という改善に成功しました。一人一人のお客さまに合わせたタイミングでコミュニケーションをとり、製品への関与度合いを高めることが更新率に効果があるという仮説が実証されたと感じています。
また数字は公開出来ないのですが、追加した各シナリオは売上増に着実に貢献しています。例えばカート放棄メールが典型的な例です。一つ一つのシナリオが作り出す売上は全体から見るとまだ大きな金額ではありません。ですが自動的に一定額の売上が生まれる仕組みづくりは、ちりも積もれば山となることを実感しています。
加えて最重要指標である数字には現れにくい部分ですが、実務面で大きな効果があったのが運用の安定化と高速化です。特にコンシュマービジネスで顧客のレコード数やデータ項目が多い場合には、システム負荷も高くなりがちで、複雑な操作により人的エラーも起こりやすいのが現実です。実際に運用を始めてみると、プログラム設計でも安定運用を目指すための設計をするような方向に変化していきました。負荷を分散するためのプログラムの書き方やフィルターのかけ方など細かい点も試行錯誤しながら、一つ一つ改善していっています。
今後実施したいこと
今後実施したいのはこれらの改善をより幅広く、効果的に展開することです。3つ例を挙げると、より広い事業領域への横展開、メール以外のチャネルとの複合活用、データマネジメントの改善となります。
まず今回の実施結果が良かったことで、これらの施策を他の事業領域にも横展開してきます。他領域でも顧客とのコミュニケーションには共通点も多く、よりスピーディーに大きなビジネスインパクトを生み出すことが出来るはずです。
つづいてメールが不得意な部分を補う他チャネル活用です。1つの例としては、MAと連携したSMS(ショートメッセージサービス)配信をテストしています。更新期間中のコミュニケーションの流れの中で、リアルタイム性と到達率の高いSMSの方が効果的な場面があるためです。
またチャネル展開は、オンラインに限りません。従来から実施しているDMなどオフラインを含めたクロスチャネルコミュニケーションも重要視しています。商材やオーディエンスによっては、レガシーなオフラインチャネルの方がオンラインより費用対効果が高いこともあります。
最後に最近考えているのが、MAの一つ手前のデータマネジメントです。MAはその性格上全てのデータを連携するような性格のものでありません。その手前にデータマネジメントプラットフォームを作ることで、MAにつなぎ込めていないデータが宝の持ち腐れになってしまっている現状を打破し、必要なときに必要なデータを必要なツールが有効活用するような仕組みを考えています。
ディレクタスを選んだ理由
ディレクタスはMAツールベンダーさんより、確かな運用実績とノウハウをもっているパートナーということで、ご紹介頂きました。
(MAの)ライセンスを取り扱える販売代理店としての会社さんはその当時でも多くあったのですが、そこに技術的な側面まで見据えてしっかり運用を支援していただける会社は他に見当たりませんでした。
事業者側のマーケターには、より多くの技術的能力が必要となってきている時代です。考えうる解決策としては社内で育てるか、新たに雇うか、外部の力を借りるかになりますが、多くの会社では短期的には外部の力を借りるケースが多くなるかと思います。その際重要となるのは外部パートナーの質です。パートナーに求める要素としては、企画力があるのはもちろんですが、加えてそれを実現するためのエンジニアリソースと経験を持っている会社であることが重要と考えていました。
またディレクタスの場合DM(ダイレクトメール)というオフラインチャネルを起点に、その後Eメールなどオンラインにも展開した会社ということで、オフラインを含むクロスチャネルとダイレクトマーケティングへの造詣も深く、広範囲にサポート頂いています。
ディレクタス担当者の声
このプロジェクトの成功はトレンドマイクロ 田中様によるところが非常に大きかったと思います。MA導入後の運用フェーズにおいては、一般的に施策の追加実装や変更・調整の煩雑さから進行がスピードダウンしてしまう企業も多いのですが、トレンドマイクロ様には各施策の効果実績をふまえた改善についても迅速にご判断いただきました。また効果が高かった取り組みについては他の施策にも横展開するなど、PDCAを運用する中での細やかな調整の積み上げによってKPI 40%増という数字を打ち出すことができました。今後、データマネジメントプラットフォームを検討する中で、より幅広いチャネルでのコミュニケーションを最適化できるようになるところまで支援させていただきたいと考えています。
会社概要
社名 | トレンドマイクロ株式会社 |
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公式ホームページ | http://www.trendmicro.co.jp/ |
主な事業内容 | 「デジタルインフォメーションを安全に交換出来る世界を実現する」というビジョンのもとにセキュリティ製品全般を提供するセキュリティのリーディングカンパニー。主要製品はウイルスバスタークラウド10、ウイルスバスターモバイル、パスワードマネージャーなど。 |
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