ディレクタスはSalesforce Marketing Cloudの前身であるExact Targetの日本進出時よりパートナーシップ契約を結び、長年に渡ってSalesforce Marketing Cloud Engagementの導入・運用を支援してきました。
私たちは日本のクライアント企業に最新の情報をお伝えするため、以前よりSalesforceが開催する様々なイベントに社員を派遣し世界基準での情報収集を重ねています。

今回の記事では6月21日に行われたSalesforce Connections持ち帰りウェビナーイベントの様子や渡米した社員による現地報告・所感、今後のマーケティング業界予測を前後編に分けてお伝えしていきます。

●前編/ディレクタス社員による、 Salesforce Connections レポート ※本記事
●後編/株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン執行社員 CMO/CIO 志賀氏・株式会社ディレクタス 代表取締役 岡本による
Salesforce Connections マーケティング最新テクノロジー対談

 

 
 
 
 
レポーター
マーケティングテクノロジーグループ マネージャー 徳竹
 

 

Connections2023について 

Salesforce Connections は、Salesforce社主催のマーケティングやEコマースなどにおけるイノベーション、ソリューションを丸2日間かけて紹介するイベントです。
シカゴのマコーミックプレイスにて、2023年は6月7日~8日にかけて約240のセッション・200以上の製品デモなどSalesforceが提供するデジタルエンゲージメントの世界観を体感できるイベントとして開催されました。コロナ禍では現地参加を避け、オンライン参加をする企業が増えていました。しかし今年は公式発表で入場者が1万人弱を超えたとあり、現地での体感としてもコロナ禍前の賑わいを取り戻した印象を受けました。

今回のテーマは、「AI is the new UI」

今回発表されたトピックでは、AIを搭載したコンテンツが多くを占めていました。テーマとして掲げられていたのは、「AI is the new UI」。まだ実装されていないアイディア段階のツールも含め、今後マーケターがお客さまの満足度を上げるために使いこなすべき機能はAIが網羅していくとの未来を指し示した展示でした。

お客様のデータを取り扱うマーケティング担当者としては、ツールの能力だけでなく“そのAIはどの程度信頼できるのか”も重要です。集められたデータはどのように取り扱われているのか、生成をする際のビッグデータは何を参照しているのか……。現状のAIではまだその辺りに不安が残るなかで、Salesforceによる説明には安心を感じました。

 
Salesforceは企業の営業活動をサポートする存在として、CRMやデータクラウドを使用したマーケティングツールを開発・販売し発展してきた先駆者です。現地では「膨大なデータから目的に適さないノイズを除外するプロセスに慣れているからこそ、質のいいデータを生成可能なAIが開発可能である」ということが繰り返し強調されていました。
 

予測AIから生成AIへ

かつてAIとはあらかじめ学習させたデータに基づき、正解・不正解を判別したり簡単な問いへの回答を行ったりする機能を有したシステムを指していました。しかし、現在の生成AIは学習したデータを元にし、自ら考えて新しいアウトプットを生成することができる機能です。この能力には、「私たちが常識に捕らわれて発想ができなかったような、販促アイディアやコピーを作成する」などの動作も含まれます。
 
Connectionsでは「AIはマーケターの代わりになる存在ではなく、業務の助けになるツールである」「UIを使いこなすのは、あくまで人である」とまとめられていました。データクラウドでは、CDPのように全てのデータを各企業がキープしてメンテナンスを行う必要がないため、これまでのCDPデータを残しながらも管理の手間は減っていくのではないでしょうか。

近年マーケティング手法や手段がテクノロジー化し、高度なテクニカル知識が必要となっていました。しかし、MAなどツールを扱うすべてのマーケターがテクニカルに強い・得意という訳ではありません。そうした部分をGPTが補い解決するという、時代に即しながらマーケターを支える素晴らしい発表でした。

 
今後マーケターに求められる能力は、どうやってコンテンツを見つけてもらえるかを考える力ではなく、質のいいアウトプットをAIに作らせる力にシフトしていきそうです。
 

Einstein GPTとは?

今回Einstein GPTの開発・リリースが、ひとつの目玉として発表されていました。
本GPTは2023年夏から2024年の冬リリースに向けて開発中とのこと。日本語にも対応するはずですが、現時点で時期についてのアナウンスはありませんでした。
 

Einstein GPTの特徴

・SalesforceがリリースするGPT機能の総称であり、ひとつの機能名称
・指示によりスクリプトの生成も可能。
・プロンプトによって、セグメントが可能
・ターゲット層の指定により、メールの件名や本文、画像まで一括で作成
 

Einstein GPT を含む  Personalization 実例、使用事例3社

現地で紹介されていた事例のうち、3社の例をピックアップしお伝えします。

Formula1(F1)のストーリー/年23回のレースと全世界5億人のファン(15億人の視聴者)をつなぐための体験づくり

●顧客リストから、独自ルールでのセグメント

顧客リストの中から「モータースポーツが好きで洗練された顧客(fashionable VIP)かつ、先週に商品購入があった人をセグメント」と指示。
→ Einstein GPTはそれぞれの条件を満たす、104,986人の得意顧客をピックアップ。

ウインタースポーツブランドRossignol のストーリー/DMメール内容の作成事例

● Einstein GPTが顧客属性に合わせたメールコンテンツを自動生成。

マウンテンバイクのポップアップイベント開催に際して、顧客向けにメールマガジン本文の作成を指示。
→ Einstein GPTはあらかじめ指定されたメールテンプレートを使い、顧客の属性に沿ったメール本文を生成。

作成されたメールの内容に合わせて、3例のタイトル案を作成するよう指示。
→ Einstein GPTは、イベント内容に合わせた切り口の異なる3例のタイトル案を生成。

往診と遠隔診療を行うヘルスケアプロバイダーVillageMDのストーリー/新規顧客獲得・既存顧客定着化へのアプローチ

●大量の顧客リストに対する、データに基づいた地域かかりつけ医の案内やワクチンの接種提案など、顧客体験の提案。

通院契約をしている地域のかかりつけ医がいない顧客に対して、画面上で医師の選択を促すリンクを表示。

随時、直近の医師スケジュールを自社システムから取り込みMCPと連携し、WEBサイト上で対応が可能な医師をレコメンド。

今年のSalesforce connectionsまとめ

GPT AIは、店舗での製品情報の提供や社内教育の提供スピード向上、マーケティング業務の効率化などに活用できます。

しかしこれまでのツールと異なり、AIにはできることが無限にあります。まずはAIの能力を自社でどう活用するか、方針を決めなくてはいけません。その上でAIへ指示を出し、提示されたデータにさらに情報を重ねて自社環境に最適化させていきます。こうした一連の工程が必須であるため、私たちの側でも新しいスキルの習得が必要です。

 
今回のイベントでは、長きに渡ってCRMを利用したビックデータ活用や解析を続けてきたバックグラウンドを持つ Salesforseだからこそ、「信頼に値する情報を生成できる、ツールとしてのAI」提供が可能になった。さらにマーケティングを世界的に支え続けてきたからこそ、各国に必要な機能をスピーディーに提供できる体制が整っているのだと感じました。
 

●ディレクタスは、Salesforce Marketing Cloud(セールスフォース マーケティング クラウド)の導入・運用を支援しています。顧客目線で提案が行えるパートナーとして、課題の整理から解決まで伴走いたします。

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