こんにちは。ディレクタスの重兼です。
今回は11月28日(火)に開催しました弊社主催のセミナーについてご報告いたします。

本セミナーでは、MAを運用するうえで課題を抱えている方に向けて、MAをフルに活用している株式会社フェリシモの西本 宗平氏と株式会社カインズの月橋 清光氏より実施施策と運用のコツについて詳しくお話いただきました。また、弊社代表取締役 岡本より、今後MAがどのように進化していくかというテーマについて、AIチャットボットやデータ分析等に言及しつつ解説いたしました。

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ひとりでまわすSalesforce Marketing Cloud

第1部では、「ひとりでまわすSalesforce Marketing Cloud」というテーマで、株式会社フェリシモの西本氏にご登壇いただきました。
西本氏はSalesforce Marketing Cloud(以下、「SMC」)の導入から運用まで担当者ひとりで対応しながらもMAをフル活用。少人数で担当されている方に向けて、これまでのご経験についてお話いただきました。

 

まずMA導入の前は、「メール数増加にともない1通あたりの効果が低減し、効果を上げようとメール数を増やしてまた効果が下がる」という悪循環に陥っていたそうです。ただし、メール数を抑制したところで、お客様が競合他社を含む大量のメールを受信している状況は変わらないため、メール数抑制による売上減のみ発生する懸念もあり、通数を抑制するよりも、通数あたりの効果を上げていくためにMA導入を検討したとのことです。導入にあたっては、どのMAということよりも、ツールによる用途を一緒に提案できる人や信頼できるパートナーを重要視されたそうです。また、運用に入ってからのことを考慮し、予め活用するかもしれないデータを可能な限り多く連携しておくことや、次のシナリオのストックを持っておくことが重要であると説明されました。

また、ひとりで回すメリットは自身ですべての意思決定することによるスピードの速さとシナリオのブレが少ないこと、そして気を付けていたこととしては、着実に数字を上げていくために作成済みのシナリオの精度を上げていくことよりも新しいシナリオを追加していくことに集中したことを挙げられました。

最後に、将来的な展望として、他チャネルへの横展開について言及いただき、アプリのプッシュ通知を数ヶ月実施してみた実感を共有いただきました。

<初公開>ホームセンター カインズのSMC徹底利用

第2部では株式会社カインズの月橋氏にご登壇いただき、「リアル店舗中心のメールマーケティング」と題し、店舗が顧客接点の中心である同社で、MA導入の背景からどのように複数の部門の協力を得ながら運用を行なっているのか、また、シナリオ作成で重視している考え方についてお話いただきました。

 

カインズ様では、もともとカード会員に向けたメール配信を行なっていましたが、幅広い商品カテゴリーを取り扱う同社では、お客様に応じたきめ細かいメール配信を行なうことができなかったようです。また、メール配信のためのコンテンツの準備や配信セットの繰り返し作業が大きな負担になっていて、メールマーケティングを行なううえでの課題になっていました。

そこで、単純な商品案内だけでなく、お客様に合ったタイミングで、お客様の役に立つ情報をお送りすることを目的に、MA活用を検討。MAツールの選定や導入パートナーの検討にあたっては、いずれも導入企業数や導入実績を重視されたとのことで、メールマーケティングの経験の豊富さも含めて評価されたとのことです。

運用面では、MA検討当初より導入後は自社で運用することを前提としていたとのことです。そのために、導入準備中から運用を行なう組織の編成を開始し、参加全メンバーが他業務との兼任である部署横断のMAチームを構築されました。
MAチームの運営にあたっては、マーケティングや情報システムという異なる立場のメンバーでチームが構成されておりましたが、定期的なコミュニケーションによるチームビルディングや、お客様の役に立っていることが実感できることでメンバーのモチベーションを高めていくことができたそうです。 また、他部門からの協力確保や、各店舗からもメールマーケティングの有効性について理解を得る必要があったため、経営層への報告や店長たちとの会議では認知度向上や成果の見せ方に力を入れていたようです。

また、月橋氏がシナリオを作成する際やシナリオをブラッシュアップする際に重視している考え方、そして実際に配信しているシナリオメールもご紹介いただき、一つ一つのシナリオの目的と対象をどう組み合わせているかご説明いただきました。

最後に今後の取り組みとして、チャネルの拡大や外部データ連携を進めていきたいとお話いただきました。

AIの活用でMAはこう進化する!ディレクタスの最新の取り組みをご紹介

第三部は、弊社代表の岡本より現在の動向から将来的なMAの活用について以下の3テーマでお話いたしました。
1.クロスチャネル対応
2.AI活用(シナリオ設計の自動化)
3.顧客との“対話”

1.クロスチャネル対応
現在も多くの会社で検討している、あるいは既に取り組んでいるテーマかもしれません。Eメールを活用した1to1コミュニケーションから別チャネルへ横展開していく流れです。
今後の大きな方向性として、プライベートDMPと連携することによるオンライン広告やWebサイトへのパーソナライズドしたメッセージを行なっていくアプローチと、O2O等の店舗への対応に活かすアプローチをご紹介しました。
また、この方向性に対するMAベンダー側の今後の動向として、Salesforce.comのサービスラインナップや戦略が最も対応してきていると話します。
ただ、既に現実化している各社の課題としては、各チャネルのコミュニケーション上の特性を理解し、特性に応じた使い分けを行なうことが非常に困難であること、また、担当や部署が異なるチャネルを横断した運用を行なうことでサイロ問題に陥ることが懸念されています。

2.AI活用(シナリオ設計の自動化)
今後数年での拡大が見込まれる動向として、AIを活用することによる有効なシナリオ設計に向けた自動化技術だと話します。
Salesforce.comからリリースされた“Einstein”のサービス内容を参考例として、今後の方向性に「ターゲット顧客の抽出」や「セグメンテーションの自動化」、「訴求内容の自動最適化」、「チャネル、タイミングの自動最適化」等を予想します。
また、AI活用によりそのような変化が進んだ場合にも、コミュニケーションに関する「戦略の立案」やAIを活用するための「データの整備」、「コンテンツ制作」はマーケティング担当者にとって重要な課題になると話し、それらに対するディレクタスとして対応している取り組みをご紹介しました。

3.顧客との“対話”
最後に将来的な予想として、「IoTを活用した新しいマッサージチェアとの出会い」という実体験を例に挙げ、岡本の考える「対話型」マーケティングについてお話しました。
顧客とのリアルタイムでの対応やリアルタイムのデータをもとにした最適なアプローチが、将来的なマーケティングのあり方だけでなくビジネスモデルに影響する変化であると説明します。
この方向性に対するディレクタスとしての取り組みとして、MAとAIチャットボット、LINEを組み合わせた「対話型」マーケティングの最新事例をご紹介しました。
実際の対話シーンのデモと、当社にとっても予想も超えた反応効果の高さは、参加者の皆様にとっても参考になったのではないしょうか。

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本セミナーでは多くのご質問をいただき、終了後のアンケートでも「詳しく聞いてみたい」といったご意見を多くいただきました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
なお、本セミナーで使用しました資料の配布は行っていないので、詳細などについてはご遠慮なくお問い合わせください。 お問合せはこちら

重兼 槙夫

商社系IT企業にて、コンタクトセンター向けソリューションや企業内コラボレーション ソリューションの提案・導入を行い、損害保険関連企業を経て、ディレクタスに入社。