昨日舞浜アンフィシアターで開催されましたLINE社のカンファレンス「LINE CONFERENCE TOKYO 2014」にご招待いただき、参加してきました。

◇会場の様子
招待状をもって、会場の舞浜アンフィシアターへ向かいます。会場の総キャパシティ2170席に対して一部使用していない席があったので、恐らく1800名前後の参加者規模かと思われます。メディア席とゲスト席に分かれていましたが、それぞれ国内、海外から多くの参加者で会場は非常ににぎわっていました。

Keynoteで発表されたLINE PayやLINE TAXI,Game関連の発表に関しては多くのメディアで既に報じられているので、当ポストでは上級執行役員 法人ビジネス担当の田端信太郎氏(@tabbata)によるマーケティング領域に関するセッションについて取り上げます。

◇注目はLINEビジネスコネクトの本格活用
従来の一斉配信型コミュニケーションである公式アカウントと異なりOne-to-Oneコミュニケーションを実現できるLINEビジネスコネクトはコミュニケーションチャネルの中でも非常に注目すべき存在です。


なおLINEビジネスコネクトの公式ページも公開されたようです。
参考リンク:LINEビジネスコネクト公式ページ:http://lbc.line.me/

セッションでは今年2月からのLINEビジネスコネクトの発表以来、さまざまな企業で活用されている事例が発表されました。下記の写真にもある通り、15社がすでに導入決定しているとのことです。


事例1:日本郵便
住所がわからなくても届けられたり、スマホ上の写真を使用してLINEキャラクターをデザインした年賀状を作成することも可能になります。

事例2:SBI証券
「LINEから株が買える!」と発表時話題になったSBI証券さんの事例です。

事例3:Gulliver(ガリバー)
自分の愛車とコミュニケーションするという概念が新鮮です。駐車位置を知らせてもらうことや駐車開始からの時間などを教えてもらう事が出来ます。

 

事例4:TBS
視聴者参加型コンテンツへの活用でリアルタイム視聴の増加につなげる事例です。

 

◇セキュリティに関する説明も
CRMデータなどと連携させるLINEビジネスコネクトはセキュリティに関する懸念が増える事も予想されるため、セッション内でも時間を割いて言及していました。ポイントして指摘されていたのは以下の三点です。

1. 情報の取得や引き渡しには必ずユーザーのパーミッションを必要とする。

2. LINEで登録したEmailアドレスなどの情報はLINEビジネスコネクトの導入企業に渡さない。(キーはメールアドレスなどではなく独自の識別用IDのため、もし漏れたとしても逆引き出来ない)

3. 導入企業側で取得した個人情報などのデータはLINEのサーバ上には置かない。

 

◇ビジネスコネクトのパートナープログラムもスタート
新たにLINEビジネスコネクトに対応するソリューションを提供するパートナープログラム「LINEビジネスコネクト パートナープログラム」も発表されました。

ExactTarget Marketing Cloudから先日リブランドされたsalesforce marketing cloudを始めとした9社のパートナーが紹介されました。発表された9社は以下の通りです。

<雑感>
個人的にはSalesforce社やNTTデータ社以外の新たなパートナー各社がどのような形で、LINEビジネスコネクトに対応するソリューションを出すのかが興味があります。基本的にはユーザーのシステム開発負担を軽減するために、独自のプラットフォーム開発をする線が濃厚でしょう。しかしLINEもユーザーにとっては数あるチャネルの一つにすぎません。そしてそのチャネルに接触するのはカスタマージャーニー上では一つの瞬間にすぎないため、クロスチャネルでコミュニケーションを管理する必要があるのは明白です。その部分はまさにクロスチャネル・キャンペーンマネジメント(CCCM)の果たす役割ですが、このフィールドへの新規参入は非常に難しくなっている昨今の市場環境を鑑みると、どのような方向性で参入してくるのかは興味を持って待ちたいところです。

また田端氏は冒頭の公式アカウントの説明部分でメルマガの開封率が10%程度という例を引き合いに出して話をしていましたが、要はそのコミュニケーションの中身が問われているという事ではないでしょうか。LINEはたしかにメールよりリアルタイムなコミュニケーションが得意なチャネルで、現状開封率もメールと比較すると高いケースが多いです。しかしそのメッセージにRelevancyがなければすぐに登録解除されていまうでしょう。反面メールでも適切なターゲットに適切なタイミングで送っているRelevancyの高いメールは、開封率が60%を超えるケースもあります。その意味で一斉配信のメールマガジンが、それぞれのユーザーのタイミングや興味関心に則していないコミュニケーションをしているのも事実です。各チャネルの特徴はあれども、そもそも本質的にコミュニケーションの中身が大切な事に違いはありません。

橋野 学

媒体社での新規サイト立ち上げ、広告商品開発等を経て、広告代理店にて運用型広告の運用組織構築やオンライン広告全般やオウンドメディアのプラン ニングに従事。その後デジタルマーケティング人材の育成に特化したTATEITO株式会社を共同で設立。 2014年より現職。主にBtoC企業のクロスチャネル One to Oneコミュニケーションの推進をサポートする。 著書に「実践インハウス・リスティング広告」