イベントレポート

【レポート後半】Salesforce Connections@シカゴ/セールスフォースコネクションズ 持ち帰りウェビナー

イベントレポート

今回の記事では6月21日に行われたSalesforce Connections(セールスフォースコネクションズ) 持ち帰りウェビナーイベントより、株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインCMO/CIOの志賀さんと、弊社社長の岡本による今後のマーケティング業界予測対談をお伝えします。


ゲスト
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン執行社員 CMO/CIO 志賀 智之氏
2008年入社後、IT戦略室長、情報活用推進部部長を歴任し、お客さま体験デザイン本部(現UXD本部)を設立。2018年より執行役員としてCMOとCIOを兼任。データを活用したブランディングからCRMまでフルファネルでのマーケティングと、全社的なIT統制やシステムのモダナイズを推進している。


登壇者
株式会社ディレクタス 代表取締役 岡本 泰治
1993年にディレクタスを設立し代表に就任。今年で設立30周年を迎える。数多くの大手企業の1 to 1マーケティング戦略を立案。配信システムの提供、コンテンツ企画・制作からオペレーションアウトソーシングまで実施に必要な全ての機能をワンストップで提供している。


今年はGPT元年。昨年までと大きく潮目が変わった印象を受けた

――志賀さんはこれまでSalesforce Connectionsに複数回参加されていると伺っています。これまでのConnectionsと比べて、今回はいかがでしたか。

志賀 Connectionsの参加は今回で4回目になります。世界最大のソフトウェアイベントである、Dreamforceにも複数回参加しています。
今回はサードパーティー展示も復活し、コロナ禍明けでもあり現地は活気づいていました。

去年は世界中で一気にAI、GPTが浸透した年でした。まさにマーケティングとAIの関係性において、潮目が変わった年だと感じていました。Connectionsにはそうした部分がよく表れていた印象です。

岡本 世界的に潮目が変わった瞬間から、恐らくSalesforceはそれまでの準備内容をすべて破棄して、今回のConnectionsでGPTを主役にすると決めたのではないかと推察しています。

すでにEinstein GPTのパイロット版を活用し実績を挙げている企業データも報告され、Salesforceらしい素晴らしいスピード感を感じました。志賀さんは海外のこうしたイベントに数多く参加されているとのことで、マーケティングエキスパートとしての視点から今回のConnections動向などを教えてください。

 

志賀 Einstein GPTがすでに実業務で運用され、使いこなしているユーザーが存在することは現地でも驚きをもって迎えられていました。

プレゼンテーションを見た限りでは、これまでのAIと異なり顧客に対応するチャットボットだけでなく、マーケター業務に寄り添うAIパートナーとして確立されてきている印象を受けました。しかし、まだインターネットの世界にありがちな玉石混交のデータに翻弄されている部分も見てとれ、今後コマースとどう融合していくかは未知数である状態です。

岡本 今年はまだあくまで、GPT元年ということですね。この後に、今はまだ実現されていない仕様が徐々に実装されてくるという段階でしょうか。

志賀 そうですね。GPTへの指示が現在はテキスト入力のみですが、今後は音声入力も使えるようになるでしょう。さらにセグメント後の出力方法も、さまざまに変わってくるはずです。

GPTが生成した、顧客に対する商品の説明文作成画面

新商品に対するインテグレーションは、どの程度可能なのか

――Connections全体を通して、どのような部分が印象に残りましたか。

志賀 GPTから、新商品の紹介文が提案されていたことです。インターネット上を含めて、まだデータ化されていない新商品の情報をどのように集め完成させているのか。どのようにブランドのテーマを守りながら、現場で使用可能なレベルまでブラッシュアップさせているのかが気になっています。

岡本 私たちが使用している段階のGPTはまだ、自身で推定や想像をする力があまり強くなくブランドテーマを守るような能力も高いとはいえませんよね。Einstein GPTでは、そうした部分が補強されている可能性もあるのでしょうか。

志賀 「GPTがこんな機能を持っていたらいいのに」、というアイディアは以前からありましたよね。私たちの希望を受け、データを覚えさせてQ&Aとして稼働させるなど、個別の能力を搭載したシステムはすでに存在しています。
しかし、それらのアイディアを横断して、ひとつのシステムに実装できているなら素晴らしいことです。

 
岡本 今回の発表を見た限りでは、Einstein GPTが顧客に対して直接インターフェイスになることはまだ想定されていないと感じました。しかし次のConnections等では、そのレベルに到達したシステムが発表されるのではないでしょうか。
志賀さんは以前に、GPTを指して「優秀な店員さん」と表現をされていました。顧客の相談に乗れて、店内の在庫管理も完璧にできるスタッフという意味ですね。現段階のEinstein GPTは、そうした存在に近づいてきています。

私の実感として現状では、インターネットの世界ではAIがマーケターの仕事を奪う存在ではないと感じています。志賀さんはいかがでしょうか。

志賀 私も同じ意見です。マーケティング業界においては、AIによってより良いデータや未来を得られる認識です。今のところ映画のように、AIに乗っ取られてしまうイメージはありません。

顧客がチャットの中で直接決済まで行うことができ、一連のサポート履歴は Einstein GPT により、自然な言語表現で記録に残すことが可能

Data Cloud について

岡本 ここからはデータに関する話に移りたいのですが、今回の Connections のテーマは「AIとデータ」でした。
その中で Data Cloud がフィーチャーされていましたが、志賀さんも同じような印象をお持ちですか?

志賀  AIを語るうえでまず確認しておきたいのは、データとは何か?という点では、データとはファーストパーティデータであり、それが蓄積されている場所はCDPであるということです。

Data Cloud は、これまで Customer 360 や Salesforce CDP と呼んでいたものと、コンセプト自体はあまり変わっていません。ただし、単なるCDPということではなく、 Salesforce のマーケティング系のプロダクトと連携させるためのCDPという位置づけとなっています。

 
私が考えるCDPの定義は、

・ユーザーからデータ活用の許諾を取り、データを集める
・名寄せができる
・行動データがタイムラインとして使える
・分析してセグメントが作れる

などの機能を有していることです。

 
Data Cloud 上では、ファーストパーティデータやイベントデータなどさまざまなデータをマッピング、ユニファイド(名寄せ)し、セグメントを作ることができます。
このような機能を持っている製品は、他にはなかなかありません。コンセプトとしてはとてもいいと思います。

岡本 GoogleのVertex AI にモデルデータを渡して、機械学習させるというのもいいですよね。

志賀 Vertex AIはGoogle のPaaSで予測分析や生成AI機能も有しています。Data Cloudはこうした能力を有したVertex AIと連携できるだけでも進化と言えます。
Google としては、 Google が持っているサードパーティーデータとファーストパーティデータが連携されることで、今後より高度なことができるようになる狙いもあると思います。

ファーストパーティデータの扱いについて

岡本  AIを活用してくにはファーストパーティデータが重要で、ベースとしてファーストパーティデータを用いるからこそ、SalesforceのAIは信頼できるのだと繰り返しアナウンスされていましたね。

志賀  ファーストパーティデータを利用し学習していくことは、自然な流れですよね。

現在のWEB上での接客は、お客様が自動販売機で買い物をしているような印象を受けることが多いと言わざるを得ません。しかし新しい機能によって、提供する情報をよりパーソナライズし顧客体験を高めていけるのではと期待しています。

 
岡本  ファーストパーティデータを使用するからには、本人の許諾も必要になりますね。

志賀  はい。もちろん、ファーストパーティデータをAIに学習させるとなると、やはり本人の許諾が必要です。
「データを取ってAIに預けて、当社で活用します」「顧客体験を向上させるためデータを使います」と明示して、ちゃんと許諾が取られた信頼できるデータを繋げながらよりお客様の解像度を上げていく。

そうすることで、よりお客様を理解できる世界がやってくると思います。

AI+Data+CRMのリリース情報

今夏から冬にかけて、開発・公開が進む予定とのこと。
・Segment Creation(Pilot 2023)
・Content Creation(Pilot 2024)
・Typeface partnership(Coming soon)

※日本語対応版について、現時点で詳細アナウンスはありません

●ディレクタスは、Salesforce Marketing Cloud(セールスフォース マーケティング クラウド)の導入・運用を支援しています。顧客目線で提案が行えるパートナーとして、課題の整理から解決まで伴走いたします。

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