マーケティングコラム

「Salesforce Connections(CNX)2025」でハンズオン、ワークショップに参加して感じた、これからの時代求められるスキル

マーケティングコラム

根岸 稔

Salesforce Connections(CNX)2025」に参加しました 

2025年6月、シカゴで開催された「Salesforce Connections(CNX)2025」に参加してきました。

 

普段はSalesforce Marketing Cloudを中心に業務に従事していますが、従来のシステムからData Cloudを基盤とした「Marketing Cloud Next」へと変化していく中で、マーケティングテクノロジー業界の変化の速さを最前線で体感することができました。

 

業務をAgentforceと共に歩む未来

今回のKeynote(基調講演)では、AIエージェント「Agentforce」を活用することで、マーケターのあらゆる業務を支援し、Agentforceと共に歩む未来が提示されました。

 

Agentforceが実現する4つの柱

 

具体的には、以下の4つの柱を通じてマーケターを支援すると発表されました。

  • Launch(立ち上げ)

    -キャンペーン施策を即座に展開

  • Engage(エンゲージ)

    -あらゆる顧客と双方向で会話

  • Qualify(見込み客フォロー)

    -リードを常時評価し、適切にフォロー

  • Optimize(分析)

    -少ない作業でキャンペーンを最適化

今回はこの中から「Launch(立ち上げ)」にフォーカスを当てて紹介します。

 

Launch(立ち上げ)

 

キャンペーン施策の根幹であるLaunchでは、Agentforceを活用することで、マーケターは戦略に集中し、それ以外の単純作業をAgentforceに任せるという仕組みが紹介されました。

 

従来は手動で行っていた件名や文章の作成、ジャーニービルダーによる設定作業などをAgentforceに依頼することで、大まかな構成を自動生成し、必要に応じて修正も依頼することが可能です。

これにより、キャンペーン施策の立ち上げサイクルが短縮されることが強調されていました。

最初は「そんなすごいことが本当に可能なのか?」と思いましたが、他のセッションでLaunchにフォーカスしたハンズオントレーニング(貸与PCを使用)とワークショップ(自前PCを使用)に参加し、実際にAgentforceを用いたキャンペーン立ち上げを体験してきました。次章でその内容を紹介します。

 

Get Started with Agentforce for Marketing

 

米国の既存顧客向けに新発売されるハイキングアパレルの告知キャンペーンを題材に、メール作成、ターゲット作成、スケジュール設定などを体験しました。

 

Campaign Designer

 

まずはCampaign Designerを使って、キャンペーン概要を「Campaign Brief」に入力し、Agentforceに内容を読み込ませるところから始まります。

作成されたキャンペーンには補足事項を追加し、目的に沿った形になるようカスタマイズを行っていきます。

また、「Flow」と呼ばれる、ジャーニービルダーに似たステップ構成も自動生成され、今回は不要なSMS送信やリマインダーをAgentforceに依頼して削除しました。従来は手動で行っていた作業が、自然言語で依頼できる点に驚かされました。

 

コンテンツの作成と修正

 

続いて、メール等のコンテンツもAgentforceで生成・修正します。パーソナライズ文字列も従来のSMC同様に設定可能で、名前差し込みなどが確認できました。

 

Segment Builder

 

 

配信対象の設定もAgentforceを使用します。デモでは「アメリカ在住の既存顧客(Existing customers based in the United States of America)」と入力することで対象者が生成され、内容の確認と必要に応じた修正が可能でした。

ただし、プロンプトがどのような条件で抽出されているかは、ハンズオンでは明確には分かりませんでした。

 

Workshop: Learn How to Build Agent for B2C Commerce 

このワークショップでは、Agentforceとの会話を通じて、注文管理やレコメンド機能を体験しました。

今回のシナリオは以下のとおりです:

  • 注文管理の設定

  • 会話内容に応じた最適な駐車場のレコメンド設定

     

会話内容に応じた最適な駐車場のレコメンド設定

Asset Libraryから会話テンプレートを選択

 

「Agentforce for Guided Shopping — B2C」のテンプレートを選び、役割やロールを入力することで、ブランドや施策に合った使い方が可能でした。

今回はスポーツ用品ECサイトを想定し、買い物をサポートする設定で体験しました。

完成したBotでは、Agentforceとの会話を通じて、ユーザーがメールアドレスや注文番号を入力するだけで注文キャンセルを完了できる仕組みになっており、従来のWeb操作が不要になるUX向上が実現されていました。

 

 

 

 

プロンプト用テキストの読み込みとレコメンド設定

 

駐車場のレコメンド設定では、テンプレートではなく、事前に用意されたプロンプトテキストをAgentforceに読み込ませ、Botを構築しました。

読み込んだプロンプトの概要:

  • 空港サイトでの検索クエリに対し、最適な駐車商品を選定

  • 価格割引などのルールを遵守

  • 指定のJSONフォーマットで分かりやすい説明付きで返答

     

     

まとめ

 

今回のハンズオンおよびワークショップを通じて、Agentforceを「クリエイティブ面」と「テクノロジー面」の両側面から体験することができました。

どちらも共通していたのは「Agentforceを通じて施策や設定を作成する」という点です。

 

特に印象的だったのは、事前に用意されたプロンプトの内容で、「実際の現場では誰がこのプロンプトを書くのだろう?」という疑問でした。

駐車場レコメンド用プロンプトは非常にボリュームがあり、さらにルール遵守などを考慮すると、精度の高いプロンプト設計が求められます。

Keynoteでは「AIと共創して施策を作る」というキャッチフレーズが掲げられていましたが、実際に重要になるのは「確かなプロンプトを書く力」であると強く感じました。