マーケティングコラム
こんにちは。マーケティングテクノロジー部の薛(シュエ)です。
2025年6月、アメリカ・シカゴで開催されたSalesforce Connections 2025に参加してきました。世界中のマーケターが集まり、Marketing CloudやAI、データ活用についての最新情報を学べる年に一度の大イベントです。
アメリカへ出張する機会をいただき、最新のマーケティングテクノロジーと現地体験を通じて多くの学びを得ました。本記事では、私が特に注目したポイントを中心にご紹介します。
🔑 キーメッセージは「Agentic Marketing(エージェンティック・マーケティング)」
今年のカンファレンスで最も繰り返し出てきたキーワードが「Agentic Marketing」。
これは「AIに指示を出すだけで、セグメント作成やキャンペーン構築、パーソナライズまでやってくれる」仕組みのことです。
Salesforceはこれを「マーケターが“手を動かす”のではなく、“指示する”だけの時代」と表現していました。
✨ Marketing Cloud Next:これからの標準
今回Keynoteで発表された新しいMarketing Cloud=Marketing Cloud Nextは、従来のシステムを「ただアップグレードする」ものではありません。
これは「AI × Data Cloud × Flow× CRM」を一体化した次世代マーケティング基盤です。
AIエージェント「Agentforce」が中核となり、以下のようなことが自然言語(チャット形式)で実行できます。
キャンペーン作成
セグメント抽出
パーソナライズ設定
リード管理
Webコンテンツの最適化 など
まさに「マーケティングをAIに任せられる」世界がすぐそこまで来ていると感じました。
📚 注目セッションでの学びと気づき
今回のSalesforce Connections 2025では、Marketing Cloudだけでなく、データ基盤・AI・顧客体験・ロイヤルティ戦略まで、幅広いセッションが開催されていました。私も時間の許す限り、多くのセッションに参加し、最新のトレンドや実践事例を吸収することができました。
● Session: How Salesforce Uses Data Cloud to Increase Speed to Lead
Salesforce社自身が、Data CloudとAIを活用して「リード対応の迅速化」を実現している方法を紹介。Sales→Marketing間の連携がスムーズになることで、 見込み客へのファーストアクションが大幅にスピードアップしているとのこと。実際の効果事例(リード対応時間の短縮・CVR向上)も紹介され、Data Cloud活用の具体的なイメージが湧きました。
●Session: The Art and Science of Email Deliverability
「メールが届く」ための仕組みや設計について、技術(SPF/DKIM/DMARC)と戦略(セグメントやタイミング)**の両面から解説されたセッション。特に、リストの健全性管理やフィードバックループの重要性については、日々の運用にもすぐに取り入れられる内容でした。
● Session: Build a Well-Architected Martech Stack around Data Cloud
Data Cloudを中心に据えた「マーケティングテクノロジーの最適構成」についてのベストプラクティスを紹介。既存のMAツールや外部連携ツールをどうつなげて、データを“活かす”状態に保つかという視点が印象的で、アーキテクチャ設計の参考になりました。
DAM(Digital Asset Management)Provider: 画像・動画・ロゴ・PDFなどの デジタルアセット(素材)を一元管理 できるクラウドサービスをSalesforceに連携させると、外部DAMに保存されたコンテンツを直接参照・活用できるようになります。
● Session: Learn How to Build an Agent for B2C Commerce
Agentforceのハンズオン形式セッションで、B2C Commerce向けのショッパーエージェントを実際に構築する体験ができました。標準アクションだけでなく、独自アクションも設定できる柔軟性があり、今後のEC連携への応用も期待できます。
● Session: Salesforce Loyalty Management
Salesforceのロイヤルティ管理機能についてのセッションでは、単なるポイント施策にとどまらず、“感情的なつながり”をどう設計するかという深いテーマが印象的でした。AIによる顧客スコアリングや行動予測をもとに、パーソナルで魅力的な特典設計が可能になるとのことで、CX向上へのヒントが多く得られました。
🤖 会場での印象的な体験
展示エリアでは、AIとロボットを活用した体験型展示が行われており、その進化に強い印象を受けました。AIロボット「Herry」が登場し、指示に応じて動いたり、目が合うと挨拶してくれたりすることを体験しました。
● Prompt(指示文)によるロボット操作
画面に自然言語で指示文(Prompt)を入力することで、ロボットが荷物を車から棚へ運んだり、その逆を行うデモが実演されていました。従来のプログラミング的な操作ではなく、人間の言葉でAIが理解し、動く様子は非常に未来的で、業務への応用可能性も感じました。
● 音声・ジェスチャーによるインタラクション
入力不要で、音声や手の動き(ジェスチャー)によってロボットが動作する展示もありました。たとえば人が「棚に戻して」と話しかけたり、手で指し示すだけでロボットが動き出すなど、直感的な指示による自然なAIインターフェースが体験できる場でした。
● 「Pick Up Your Skills」コーナー
ぬいぐるみ「Brandy」をピックアップできました。嬉しかったです。
💡 今後のマーケター像
今回のConnectionsを通じて強く感じたのは、 これからのマーケターは、“すべてを作る人”から、“AIに正しく指示を出す人”になるべき という方向性です。
「すぐ使えるテンプレート」や「Chatで設定できるUI」により、スピードと柔軟性が求められる現場でも活用しやすくなっていると感じました。
🎯 まとめと今後のアクション
Marketing Cloud NextとAgentforceは、マーケティングの“やり方”を大きく変える可能性を秘めています。
Connections 2025で得た知見は、今後の社内施策にも大いに活かせる内容ばかりでした。
今後は:
✔ チーム内への情報共有
✔ AI活用の検討
✔ 顧客体験強化のための施策設計
などに活かしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
ご質問やご興味のある方は、ぜひお気軽にお声がけください!
薛 俊栄 (xue junrong)
株式会社ディレクタス マーケティングテクノロジー部