社員ブログ
こんにちは。イノベーションラボに所属している野口と申します。
入社して2年目の新人です!前職では事業会社にてマーケティングや管理会計を担当しておりました。 データ分析やデータマーケティングの世界にどっぷりつかりたくディレクタスに転職してまいりました!
私が所属しているイノベーションラボでは、マーケティング活動関連のデータ分析を行っており、様々な種類の分析モデル(統計モデルや機械学習モデル)を使い分けております。
今回は、実務で分析モデルを使用する際の選び方、「解釈しやすさ」と「予測精度」についてお話ししたいと思います。
最近では、データ分析やAIに関する話題を耳にしない日はありません。
実際のビジネス現場でも、「データをもとに意思決定したい」「AIで売上を予測したい」といった声をよく聞きます。
しかし、ここでしばしば直面するのが、「分析結果の解釈性」と「予測精度」のトレードオフという課題です。
たとえば、広告費と売上の関係を明らかにしたい場合、「広告費を増やせば売上が上がる」といった直感的な関係性を分かりやすく示してくれるのが、いわゆる“解釈しやすい分析モデル”です。
統計解析で用いられる回帰分析や、機械学習の決定木モデルがこれにあたります。数値の動きと結果との関係を、図やロジックで視覚的・論理的に説明できるのが特徴です。
決定木は「はい・いいえ」で進んでいく診断チャートのような構造を持ち、売上の良し悪しを「訪問件数」や「商品知識」といった要素に分解して示します。
こうしたモデルは、関係者への説明がしやすく、納得感が得られやすいという利点があります。
社内での合意形成や施策の方向性を決める場面では、「なぜそうなるのか」を共有できることが大きな強みとなります。
ただし、こうしたモデルはシンプルさを保つ代わりに、複雑な要因や微妙な関係性をあえて捨てている場合が多く、予測精度には限界があります。
一方で、「理由は説明できないが、よく当たる」タイプのモデルも存在します。
代表例が、ニューラルネットワークやディープラーニングなどの複雑なAIモデルです。
人間の直感では捉えきれない膨大なパターンを学習し、たとえば「この顧客は次にこの商品を購入しそう」といった予測を高精度で実行できます。
このようなモデルは、広告配信やパーソナライズされた商品推薦など、結果の精度が重視される場面で威力を発揮します。
ただし、「なぜその結果になるのか」を説明できないことに不安やモヤモヤを感じる方も少なくありません。
組織内で意思決定を行う際には、単に結果を提示するだけでなく、その根拠や理由を説明する必要がある場面も多く存在します。
解釈しやすいモデルは、情報をあえて削ってシンプルにすることで、「なぜそうなるのか」を説明しやすくしています。
一方で、高精度なAIモデルは、多くの要素を加味して最適解を導き出すため、結果の理由を人間が解釈するのは難しくなります。
このように、「正しさ」と「納得感」は、ときにトレードオフの関係にあります。
結局のところ、どちらが優れているかではなく、目的や状況に応じた使い分けが重要です。
説明責任や合意形成が求められる場面では、わかりやすさを重視したモデルを。
逆に、即時の成果や高精度な判断が求められる場面では、複雑でも高性能なモデルを選択するという判断が求められます。
また、高精度モデルであっても、SHAP値などを活用して各特徴量の影響度を定量的に把握することで、ある程度の解釈性を担保することが可能です。
さらに、必ずしも分析モデルに依存せずとも、BIツールを用いてデータを可視化し、傾向や変化を直感的に捉えるといったアプローチも有効です。
目的に応じて、複数の手法を柔軟に組み合わせる視点が大切ってことですね!