マーケティングコラム
こんにちは。イノベーションラボの小澤です。この部署はディレクタスの中でも珍しい業務で、データ分析や機械学習、LLM(大規模言語モデル)を始めとしたAIの調査・実装を行っております。現状、私は主に一般的な機械学習モデル(LightGBM等)に関連した分析・実装・教育とLLMの調査・実装を担当しておりますが、それらの業務すべてに共通する観点として、分析業務を効率的に進める方法についてお話ししたいと思います。
皆様は分析と聞いたとき、どのような業務の進め方を想像しますでしょうか。分析は単にデータを集めて集計すればいいというものではなく、事前の計画が重要です。効率的な分析を行うためにはいくつかのポイントがありますので、まず良くない例を挙げて問題点を考えてみましょう。
良くない例とは、目的や仮説を明確にせず、とりあえずデータを集計しながら考えようとするものです。この方法では分析が迷走しがちです。例えば売上に関する分析をする際、明確な目的や仮説なしにただ様々なデータを分析すると、どこに焦点を当ててよいかが分からなくなります。その結果、時間を浪費し、さらに明確な結論も得られない可能性が高くなります。
では、効率的に分析を進めるためにはどうすればよいでしょうか。
最初に重要なのは、背景、目的、そして仮説を明確にすることです。例えば、売上が低下したという背景があった際、その要因を探ることを目的とし、その要因が新商品の影響なのか、季節的な要因なのか、それとも競合他社の影響なのか、などといった仮説を立てます。この仮説があることで、どのデータを分析すべきか、どのような視点でデータを見るべきかが具体的に定まります。目的や仮説を持たずに手当たり次第にデータを集計することは避けるべきです。
次に、仮説を検証するためにどのような集計や分析を行うかを事前に明確にしておくことが重要です。例えば、売上低下の要因を調査する場合、先ほどの仮説に応じて必要な分析内容を決定します。この計画により分析作業は無駄が少なくなり、効率が上がります。
さらに、仮説検証の結果からどのような提案ができるか、あるいは次にどのような分析が必要になるかを最初から考えておくことも大切です。例えば、売上低下の要因として競合他社のキャンペーンが影響していると分かった場合、それに対抗するための施策提案が必要になりますが、ここまで事前に考えていれば分析前に顧客とすり合わせることもでき、例えば提案されたところで実行できないような無意味な施策提案をしてしまうリスクを減らすこともできます。
また、これらのプロセスを説明するストーリーを予め明確にしておくことも大切です。データ分析の結果を共有する際には、背景から仮説、そして得られた結果と提案までを一貫したストーリーとして伝えることが重要ですが、この流れを事前に考えておくことで効率的に報告資料に落とし込めるようになります。またこのストーリーがあることで、関係者にとって理解しやすく、意思決定にもつながりやすい分析結果となります。
分析手法の選定についても触れておきます。目的に応じて様々な分析手法が考えられますが、手法ありきで分析を進めることはあまり推奨されません。複雑な手法を使うことが必ずしも優れているわけではなく、同じ結論が得られるのであれば、シンプルで顧客に説明しやすい手法の方が望ましいと考えられます。例えば、売上の低下要因を分析する際、複雑な機械学習モデルを使うことも一つの手ですが、単純なセグメンテーションと集計で十分に説明できることもあります。
分析業務を効率的に進めるためには、目的や仮説を明確にし、その仮説に基づいて何を分析し、どのようなストーリーで伝えるかを考えておくことが不可欠です。これにより、分析が迷走することなく、明確な結論と次のアクションへとつながる結果を得ることができるでしょう