マーケティングコラム
こんにちは、ディレクタス入社1年目の小杉と申します。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために日本でも4月7日に緊急事態宣言が発令されました。外出の自粛によって人々の生活スタイルも大きく変化しつつあります。店舗での営業自粛が広がる一方でECの売上は伸びているところもあるようです。今後しばらくの間は多くの流通・小売でECへのシフトが続くと思われますので、EC間での競争も今より厳しくなるのかもしれません。
顧客とダイレクトに繋がることはECの強みですが、その強みを活かすのが顧客一人ひとりとの最適なコミュニケーションを行うOne-to-Oneマーケティングです。One-to-Oneコミュニケーションのチャネルは長い間実質Eメールだけという状況が続いていましたが、最近アプリやLINEも活用されている例が増えています。実際はどの程度活用されているのでしょうか?
今回私は、第19回ネット販売白書に掲載されているEC売上上位100社についてメール以外のコミュニケーションチャネルの活用状況を調べてみました。
※ランキング出典
宏文出版株式会社「月刊ネット販売」2019年10月号掲載
「第19回ネット販売白書」EC企業ランキングの上位100社
2019年10月~2020年1月末までの調査。
EC売上上位100社の概況
はじめに2019年のEC売上上位100社の合計売上とカテゴリ別の売上額を見てみましょう。
合計売上額は、3兆8419億3100万円で、2015年の売上額2兆5027億1400万円と比較すると全体で約1.5倍の伸びとなっています。
カテゴリ別に見てみると(表1)、「総合」、「家電・カメラ・AV機器」、「服・シューズ・バック」の順となっており、
「総合」は12社で合計売上額1兆8554億9000万円、「家電・カメラ・AV機器」は16社で合計売上額は5575億4700万円、「服・シューズ・バック」は21社で合計売上額は4715億500万円となっています。
【表1:2019年カテゴリ別売上げ】
EC売上上位100社のクロスチャネルの利用状況を調べてみた
それでは本題に入りましょう。今回はEC売上上位100社がコミュニケーションチャネルとしてメール以外にどのようなチャネルを利用しているかを、LINE、Twitter、Facebook、Instagram、YouTube及び自社アプリの利用状況について調べてみました。(表2)
LINE、Twitter、Facebookに関しては、アカウントを保有している会社の割合はそれぞれ約7~8割前後でした。次に多いのは自社アプリで7割近くのECが保有しています。Instagramは53%、You Tubeは25%でした。
【表2:各SNSなどの利用企業数】
また、チャネルの組み合わせ利用について調べてみるとLINE、Twitter、Instagram、Facebook、自社公式アプリの組み合わせが一番多く、26社ありました。次に多いのは全部のチャネルを利用している企業で13社ありました。
反対にメールのみの企業(未利用)は5社でした。(表3)
YouTubeの利用はまだハードルが高いようですが、コミュニケーションのチャネルは確実に広がってきている感じです。
【表3:チャネルの組み合わせ】
LINEのID連携は進んでいるのか?
次にLINEのアカウント保有している企業のLINE ID連携の状況について調べてみました。(表4)
昨年からLINEの企業向けサービスが刷新され、課金体系も従量制が基本になったので、一斉大量配信のメッセージから顧客IDとデータ連携したOne-to-Oneコミュニケーションに移行が進むのではないか、といわれていたようです。実際はどうなのでしょうか。
・LINE側に企業のID連携等の有無の明示がある
・企業の公式WEBサイトにLINE連携等の有無の明示がある
結果100社中で73社がLINEを利用しており、40社がID連携を行っていました。カテゴリ別に利用率を見ると、「服・シューズ・バック」カテゴリが71%、「総合」カテゴリが80%と高いことがわかりました。
【表4:カテゴリ別LINE ID連携社数】
終わりに
今回の調査では、EC大手でメール以外のチャネルの活用が確実に進んでいることが分かりました。
またLINEのID連携も半数近くが実施しており、LINEでもOne-to-Oneコミュニケーションを実現出来る状態になっていることがわかりました。実際にどの程度の企業がクロスチャネルでのOne-to-Oneコミュニケーションを実施しているかについては、次の調査で明らかにしたいと思います。
参考文献リスト
「月刊ネット販売」第19回ネット販売白書EC企業ランキングの上位100社,宏文出版株式会社,2019/10月号
「消費者向けeコマースの取引実態に関する調査報告書」,公正取引委員会,2019/1月
この記事を書いた人
Kosugi
新卒でコンクリート二次製品メーカーで営業を経て、2019年にディレクタスに入社。未経験でマーケティング業界に飛び込みました。現在は数値の集計を行いレポートの作成業務に従事しています。 ちなみに趣味は乗馬です。