マーケティングコラム

【レポート】 話題のLINEビジネスコネクトをユーザー目線で試してみた リクルート社編 ~2014年8月4日追記~

マーケティングコラム

こんにちは、ディレクタスの谷米です。
先日書いた記事(【レポート】 話題のLINEビジネスコネクトをユーザー目線で試してみた)が好評だったため、7月8日にリクルート社のフロム・エーナビがリリースしたLINEビジネスコネクトによる新サービスを「試してみたシリーズ第二弾」として、お届けいたします。

[参考リンク] LINEビジネスコネクトを活用し自然言語処理技術による会話を実現したLINE公式アカウント「パン田一郎」をリリース

公式情報によると、下記の3サービスを発表しています。

1:オリジナルスタンプがもらえる

2:パン田一郎とおしゃべりができる
・天気予報
・ヘルプ機能

3:パン田一郎がバイトライフをサポート
・求人検索
・給料計算
・シフト通知

リクルート社のサービスも、マツモトキヨシ社やH.I.S.社の事例と同様、「企業からユーザーに向けたOne-to-Oneメッセージの配信」の枠を超え、ユーザーが送信した情報に基づいた対話型のサービスであることが特徴です。

それでは各機能を早速試してみましょう。

1:オリジナルスタンプがもらえる

パン田一郎と友達になるとトークにメッセージが送られてきます。メッセージ内にあるURLからスタンプのダウンロードができます。
このスタンプがサービスの機能性を高める鍵となっています。前回ご紹介したマツモトキヨシ社やH.I.S.社が提供するサービスでは、指定の条件を正確に満たした文言や文章を送信しないとサービスが十分に機能しないという課題がありました。本サービスでも同様の課題を残しつつも、サービス機能を呼び出すツールとしてスタンプを使うことができるため、他社のサービスよりも利便性が高いと感じました。

2:パン田一郎とおしゃべりができる
・天気予報

スタンプを利用して天気情報の取得ができます。 「天気どうかな?」のスタンプを送ると、場所の指定が返信されてきます。試しに「五反田」と送信してみました。

しかし、都道府県以下の地域名には対応していないようで、改めて「東京」と送信。すると当日の天気予報が返信されてきました。 以降はスタンプの送信だけで東京の天気予報が送られてきます。

・ヘルプ機能

こちらもスタンプを利用したサービスです。作りは非常にシンプルで、「ヘルプ」のスタンプを送ると機能詳細のURLリンクが送り返されてきます。

3:パン田一郎がバイトライフをサポート

・求人検索
天気予報機能は対象エリアが都道府県に限られていましたが、求人検索では改めて町名で試してみました。「五反田の飲み屋で働きたい」と送信。

すると、五反田でかつ飲食系の仕事紹介が見事に見つかりました。求人検索機能ではより詳細なエリアセグメントが有効のようです。

次に業種をより詳細な条件に絞り、試してみました。「IT企業」で検索をしてみると、求人情報が送られてきたものの内容がマッチしていません。

おそらく検索結果を表示させるための“枠”を提供する検索条件に「IT企業」が含まれているものの、枠を埋める情報が上手く紐付けられていないのではと考えられます。

・給料計算
この機能もスタンプによる利用が可能です。なかなかおもしろい作りになっているので早速ご紹介します。

「今からバイト!」のスタンプを送ると、単刀直入に時給を質問されました。
強気に1,800円と回答すると、なんとバイト終了後に給料計算をしてくれるとのこと。

続いて「バイト終わった」のスタンプを送ると、2種類のスタンプの送信時間の差を用いて今回のバイトで稼いだ給料を教えてくれました。おおよそ2分程度でバイト終了を告げてしまったため、給料は55円と僅かな金額となりました。

更に、なんと当月分の合計給料額も教えてくれました。操作ミスなどにより、余分な給料計算がされてしまった場合の修正はできそうにありませんが、この合計金額機能もなかなか気が効いたサービスですね。

・シフト通知
給料計算機能から引き続き、シフト通知機能が始まります。

次回のバイト日を質問されます。そこで日時を返信すると、午前と午後を区別して認識してくれます。今回はあえて「来月」としてみましたので、8月3日以降(調査日は7月)に改めてご報告させて頂きます。


【8月4日追記】

「来月」と設定したシフト通知機能について、追記させて頂きます。8月3日の午後21時ちょうどに8月3日 22時からとしていたバイトの通知が届きました。 天気予報の情報と合わせた親切な内容です。本調査から「X月」と指定しなくても、「来月」がいつなのかを判別しシフト通知が機能することがわかりました。

一方で当日の午前9時にも同様の通知が届きました。午後と指定していたにも関わらず、午前10時のシフト通知が届きました。


【8月8日 追記と修正】
LINE「パン田一郎」公式アカウントの責任者様より上記仕様についてご連絡を頂きました。大変丁寧なご連絡、ご対応を頂きありがとうございます。

<リクルートジョブズ様 コメント>
複数のバイト登録を想定しているため、一人につき複数の「次」のバイトを記録し、リマインドしています。 例えば、来月午前10時のバイトを登録し、その次に来月午後10時のバイトを登録すると前者が上書きされず、両方をリマインドする形になります。


■おまけ
おしゃべり機能を更に突っ込んで試してみました。会話内容により名言などを返してくれるとのことなので、相談形式の質問をしてみました。

一般に相談に使われそうな単語に対して、対応文章が用意されているようです。具体的に「辛い」「眠い」「疲れた」「お腹空いた」の4つは確認済み。しかも、各単語に対して数パターンの会話が返信されてきました。なかなか手が込んだ仕様になっています。

次は、少し意地悪な質問です。同じパンダ同士、思うことがないのか聞いてみました。

認識できない会話内容については汎用性が高い文章が返信されるようです。しかし、注目すべきは名前の差し込みです。最後の返信内容に私の名前が差し込まれています。会話機能としてこういった気遣いがされているのは嬉しいですね。

■実際に使ってみて
先日のマツモトキヨシ社やH.I.S.社のサービスよりも、リクルート社のサービスは幅も質も一歩踏み込んだものであると感じました。スタンプを利用することでサービスを正確に動かすことができる点はもちろん、検索対象となる単語や返信文章のパターンも数多く用意されています。
また、各サービスの切り替えもスムーズです。指定の単語(H.I.S.社の例では「終了」に該当)を送信しないと他のサービスが利用できないということもありません。

ただし、返信までのタイムラグが気になりました。送信内容やサービス毎に返信までの時間がまちまちで、数秒程度で返信されるサービス(求人検索、ヘルプ機能など)から、時には数分程度かかるものまであり、検索条件とサーバーの混雑状況によりサービスを快適に利用ができないことがありそうです。

この数日で各社からLINEビジネスコネクトを利用したサービスが立て続けにリリースされています。今後もLINEビジネスコネクトをはじめとする、データベースを活用したOne-to-Oneコミュニケーション市場がますます活性化していくと考えています。本市場の動向をこれからもこのブログを通じお伝えしていく予定ですので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

ご参考:【レポート】 話題のLINEビジネスコネクトをユーザー目線で試してみた マツモトキヨシ社&H.I.S.社編


谷米 竜馬
ハワイ大学生物学部を卒業後、京都大学再生医科学研究所にて脳発生の研究により医科学修士号を取得。卒業後は大手ECモール企業にて新規媒体開発やECコンサルタントを経て、現在はCRMに重点を置いたマーケティング戦略の立案に従事。 顧客分析から施策の提案を行い、大手クライアントの売上拡大業務に貢献。