誰もが苦しむテーマ?

Eメールマーケティングに関してご相談を受けるテーマの中で最も多いものの一つが「メール効果の長期低落傾向」についてです。

本格的なEメールマーケティングに数年以上取り組んでいると、ほとんどの企業でこの問題が持ち上がるようです。

メールの反応、例えば開封率とクリック率が徐々に低下し続ける。
色々な理由は考えられても、右肩下がりのグラフを見るのは気分のいいものではありません。
弊社のクライアント企業であれば私たちも報告会のたびに頭が痛くなります。

大体は、「開封率に効くのは件名しかないから、件名を見直そう。」
「コンテンツをリニューアルしよう。」というふうに対応策を検討することになるのですが、その前にこの「メール効果の長期低落傾向」についてもう少し深く考えてみる必要があると思います。

「隠れオプトアウト」の存在

メールマーケティングを長期間続ける場合、“飽き”や状況の変化などから毎回ある割合の読者がメールに関心を失うことは想像できます。

その方たちはオプトアウト(配信停止)として顕在化するわけですが、問題はもうメールを読む気はないのにオプトアウトしない人たちです。
これを勝手に「隠れオプトアウト者」と名付けています。

「隠れオプトアウト者」は、実際にはメールマガジンが迷惑メールフォルダやゴミ箱フォルダに入るように設定したりしますが、こちらからは見えません。

配信停止にIDとパスワードを必要とするようなメールマガジンの場合は当然その発生率が高くなります。

メール効果の長期低落傾向が起きるメカニズム

ある仮想メールマガジンの反応推移を見てみましょう。

配信件数は伸びていますが、クリック率が徐々に低下していますね。

このメールマガジンで、仮に毎回2%程度の「隠れオプトアウト」が発生していたらとしたらどうでしょう?

「隠れオプトアウト」は本来オプトアウトされるべき読者なので、配信数としてカウントしないことにします。
全配信数から「隠れオプトアウト」を除いた配信数を「真水の配信数」と呼びましょう。

この「真水の配信数」を母数としたクリック率を「真水のクリック率」として計算してみると、下のグラフのようになります。

「真水のクリック率」は同程度を維持または微増していることが分かります。

本当はメールマガジン自体は同じ程度の反応を維持しているのに、見かけ上は反応率が低下して見えるわけです。

実際には「隠れオプトアウト」の存在を可視化することはできませんので、上の計算もあくまで仮説に基づいたシミュレーションです。
しかし、メール効果の長期的な低落傾向が発生する原因の一つとしてこのようなメカニズムが考えられることは間違いないでしょう。

メールの効果を正しく把握するには、このような仮説も踏まえた上で複数の指標を目的に応じて使う必要があるのです。

岡本泰治

京都大学卒業後、株式会社リクルートを経て1993年ディレクタスを設立。 航空会社や自動車メーカーなど大手企業のEメールマーケティング戦略を立案・実行し、近年ではマーケティングオートメーション(MA)の導入支援やシナリオ設計、MA導入後のOne-to-Oneクロスチャネル展開設計など、常に最新のソリューションと長年培ってきたノウハウをもとにOne-to-Oneマーケティングを推進。